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パブリック・ドメイン

2002.09.15

テレビ番組を見て

 2002年7月14日に放送されたNHKスペシャル変革の世紀第3話「"知"は誰のものか」は、非常に面白いものであり興味を掻き立てられました。

 感想を述べるには時間が経ち過ぎましたが、この番組の内容は当サイトの運営方針とも密接な関連を持つので、ここでじっくりと考えてみたいと思うのです。もちろん番組の紹介ではないので、番組とともに考えたX-Virusの意見が入っていることにご注意下さい。なお、番組の内容は下記のページにて見ることが出来ます。

http://www.nhk.or.jp/henkaku/closeup/03/

トマス・ジェファーソン

 世界で最初に著作物の権利を保護する法案を設けたのがアメリカでした。その中トマス・ジェファーソンの考え方は非常に興味深いものがあります。

 アメリカ民主主義の父と言われ、アメリカ合衆国独立宣言の起草を作り、そして第3代アメリカ大統領に就任したジェファーソン。彼について調べると、実像の彼は、実に人間臭い性格であり、それでいて未来を見つめる目を持っていました。そうした彼の性格が、数々の功績を残す原動力であったことは間違いありません。

 その彼が、アメリカ目に見えない知的財産についてどうあるべきなのかを深く考えたものが、アメリカ憲法の中に記載されたのです。そして世界最初の著作権法は、著作物の権利を独占的に認める期間を14年と定めたのでした。しかし、この14年という期間についてジェファーソンは不服であったようです。長過ぎると・・・

 ジェファーソンの考えはこうでした。

 本来、アイディアとは自由に地球を巡り発展していくべきものだ。しかし一方で著作権を認めることで、よりすばらしいアイディアを考えることを促進し、国家を発展させることになる。著作権を認める期間が長いと著作者に大きな利益を与えるが、国家や人類にとって自由にアイディアが使えないのは不利益である。

パブリック・ドメイン

 アリスは誰のものでしょうか?
 番組はさらに続きます。

 アンデルセンやグリム兄弟は、現在多くの作家に影響を与えています。シェイクスピアもそうでしょう。そういった過去の資産が新しい想像の原動力となっていることは確かです。例えば、不思議の国のアリスは優れた想像力を持って生まれました。アリスはルイス・キャロルでなければ、生み出すことのできなかったキャラクターであるに違いないのです。

 しかし、どうでしょう。今ではアリスを題材にしてキャロルですら想像できなかった世界が生み出されているのです。そしてそういった作品の中には、あのアリスさえ出てくるのです。今ではアリスは、世界の人々の財産であるといえるのです。

 こうして自由に使うことのできる状態を「パブリック・ドメイン」の状態であるというのです。

死んだ作者と生きている子供

 ウォルト・ディズニーの生み出したアリスは、ルイスの手もとから離れた存在であり、ディズニーならではのキャラクターになっています。これを法律的に二次利用であると言ってしまうこともできるでしょうが、パブリック・ドメインの作品から新しい存在を生み出したと言うことのほうが正しくあらわしているでしょう。

 番組では死んでしまった作者のために、古き良き作品がパブリック・ドメインとならず、未来を支える子供に紹介できない事情を説明していました。もちろん著作物の権利を認めるのは、良い作品を生み出す原動力となっていることに間違いありません。ですが古い作品の権利を守る意義はいったいいつまであるものなのか、もともと著作権は誰のためのものなのか、ということを考えていった時に20世紀前半の著作権が行使されることに異議を唱えるというのももっともだと思います。

 もしディズニーが今生きていたら何と言うでしょうか。それは想像するしかありあせん。しかし彼が常に新しいアイディアを生み出してきた才能を持っている人物であったことを考えると、決して後続の才能を排除したりしなかっただろうと思えるのです。最大限の利権を確保するというのは、会社としては正しい姿だと思います。しかし今のディズニー社をウォルト・ディズニーが見たら何と言うでしょうか。

著作者の意見

 この番組の中、著名な作家らの様々な意見が紹介されていました。その意見は多様でしたが、共通して述べられていたのは、金銭的な利益は、著作権法によって必ずしも創造者に還元されていないということでした。

 番組のホームページに、著名人らのインタビューが紹介されていますので、アドレスを紹介しておきます。
http://www.nhk.or.jp/henkaku/interview_special/index.html

注:文中の敬称は省略させていただきました。

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