日本において、この映画の人間体内の美術デザインを担当したのは、シュールレアリズム(超現実主義)の巨匠サルバドール・ダリだと言われています。しかし、海外ではそのような話を耳にしたことがありません。確かに一般に知られているダリのイメージに合います。ですので、この映画に関与していたとしても不思議では無い感じを受けます。しかし実際には、このころのダリの作風とは相いれないのです。本当にダリがデザインをしたのでしょうか。そこで DaliMuseum の学芸員の方に調査していただいたところ、ダリはこの映画作品に全く関与していないことが判りました。ダリの作品に同名の「Fantastic Voyage (1965)」があり、これと混同した噂がまことしやかに語られ、その結果映画評論のほとんどでそのように解説されてしまったようです。なおダリの同名作品は、この映画とは全く別の内容のものであることを付け加えておきます。
この映画が日本で公開されたとき、虫プロダクション制作のTVアニメ「鉄腕アトム」にインスパイアされて制作されたという噂がありました。たしかに「細菌部隊(第88話1964年9月放送)」のエピソードに似ています。またこの細菌部隊というエピソードは、1948年に手塚治虫氏が「吸血魔団」として発表したマンガ作品が大元で、これを手塚氏自身が1958年に「38度線上の怪物」としてリメイク。そして1964年にアニメ版の鉄腕アトムのエピソードとして復活した経緯がある話です。鉄腕アトムは、AstroBoyとしてミクロの決死圏製作直前に放映されていますので、手塚氏の作品が下敷きになった可能性は否定できません。しかしこれは、真偽のほどを確かめることが出来ませんでした。
さてこの映画には、もうひとつエピソードがあります。脚本を基にしたノベライズを担当したのはアイザック・アシモフ。サスペンス仕立てのSF作品をノベライズするには、これ以上ぴったりの作家はいないでしょう。しかしアシモフは、このノベライズを行なったものの、SFとしての出来栄えには大いに不満だったようです。その不満を解消するには、小説を書き直すほかはない。しかし映画のノベライズ版を書き直す訳にもいかない。ということで、ミクロの決死圏2を新たに書き下ろしています。