ティー・エヌ・ケー初期の2000年に制作されたアニメで、Amazonで安売りしているのをたまたま発見。
久し振りすぎて、メイが途中でああなるのも、最後の展開も全く覚えていなかった。
本当にこのアニメを最後まで観たのか疑わしくなったくらいだ。
おまけの#11/10「あきらめません」は今回が初めての視聴だと思う。
『HAND MAID メイ』の最大の不満点としては、最後の盛り上がりにもうひと踏ん張りが欲しかった。
#11/10は確かにドタバタの連続で、このアニメの集大成としての面白さはある。
しかしここから12話・13話と続けて、ストーリーと世界観を昇華してほしかった。
三角関係の決着を描かなかった判断は理解できなくもないが、恋愛模様が未消化のままとしてのマイナス面も否めない。
過度な湿っぽさを嫌い、作風や雰囲気を重視しての落としどころだったのかもしれない。
原作はもっと懐が深かったように見受けられるし、潜在能力に蓋をしてしまったのではないかと思える。
#5/10「今日まで…本当に…」でひと山、#10/10「メイっぱい」でもうひと山、やはり12話と13話で未来へと続く描写がほしかった。
#10/10の終わり方と#11/10の終わり方は、微妙なバランスになっている。
パンチラや胸揺れの強力打線の一方で、主人公とヒロインがイチャつく描写が少なめに偏ってしまった。
#5/10に好きな場面が2つあって、まずは静かになった部屋を俯瞰しているところへ、突然イカリヤが「今日もメイっぱい頑張りましょ!」と叫んだ場面だ。
白昼夢のようなこの瞬間も、今と未来を構成するかけがえのないきっかけとなっていく。
そして前半を締めくくる最後の場面では、予想外のところから「リボン、落ちましたよ」と聞き慣れた声。
#5/10は意味が濃い一瞬を連続で視聴者へと畳みかけてくる。
#10/10についてはネタバレを避けるために詳しく書かないが、綺麗にまとまっているのは確か。
先に「微妙なバランス」と述べたように、一気に収束したストーリーは見方を変えれば良さにもなっている。
それなのに不満を含む言い回しをした理由は、欠点だらけのアニメだったからではなくて、個性の描写がそれだけ丁寧な力作だったからだ。
全話を通じて一貫しているテンポの巧みさは、現代のアニメが辿り着いた境地といえるだろう。