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下記のメッセージを削除しますタイトル:GTS・小女子幻想歌集・・・川上史津子『恋する肉体』
投稿者:笛地静恵
投稿日:2010-03-11
メッセージ:
ある読者の方が、魅惑的な歌集を送ってきてくれました。

『恋する肉体(からだ)』   
川上史津子(かわかみしづこ)
2002年5月31日 第一刷発行
飛鳥新社
1600円+税

巻末のプロフィールに寄れば、川上史津子さんは、1971年に神奈川県に生まれました。日本大学芸術学部演劇学科を卒業されて、女優として舞台を中心に活躍中とのことです。ポートレートがあります。美しく気品のある方です。刊行当時、31歳。


二十代の自分の人生の断面図のいくつかを、歌でとまとめられたのだと思いました。日常の記録ではなくて、SEXの時に主題が絞り込まれています。

女性が、性の喜びを表現しても恥ずかしくはないのだと、みんなが考えることができる時代になってきましたが、その時代の先端を優雅に大胆に舞う、短歌作品と言えるでしょう。

千年以上前の平安時代。女性の男性の訪問を待つと言う形の恋。ひたすらに忍ぶしかない恋という世界。そこから、大きく状況が変化しています。

たとえば、表題に「道玄坂上pm9:47」とあります。渋谷のラブホテルに男性といるのでしょう。午後十時少し前。食事を済ませて二人で部屋へ。そこでの経験の歌という設定になります。読者は、秘め事を覗いているような気分になります。

彼女は家から外に出て、男性を求めて果敢に活動していきます。ほれたり、ふられたり。恋愛の遍歴物語が語られていきます。


まずGTSフェティシズムという観点から、女性の本音が聞こえるようで、わくわくするような歌を紹介します。

 

1/
こんなにも拡がる私の真ん中に服従している男のツムジ

女性の視点からの歌。男性の器官を見下ろしている図。拡大しているのですから、太いものが割れ目に挿入されているのでしょう。

ピストン運動の合間。ピンク色の愛液に濡れた男の亀頭が見えた。こうべを垂れた男の頭部のよう。おもしろく痛快だった。力づくで征服しているようでありながら、これこそが男の正体。

一瞬の笑い。

上の句「こんなにも拡がる私の真ん中に」と下の句「服従している男のツムジ」の間に、少しの時間の経過があります。短歌を読み慣れていないと気が付かないことなのであえて指摘しておきます。

 それにしても、「真ん中」という指摘の的確さにびっくりしました。言われればその通りなのです。そこで繋がっているのです。歌人の鋭い観察眼が見せてくれる光景。

 そのままに取れば、ペニス大に縮小された中年男が、あそこに挿入されている光景のよう。この濡れて頭部に張り付いたツムジの毛は、すでに薄くなりはじめているのでは。


2/
威張っても小さな呻き声あげて私の坩堝(るつぼ)で跡形もなし

そのまま。想像できますね。

3/
一瞬も乾く隙(スキ)などないように我の唾液(ヨダレ)でくるんであげるよ

 大量の唾液に全身がまみれて。鼻にも口にも浸入しているでしょう。

4/
めりめりと音立てて棒呑み込んで決して崩れぬ夏の砂山

 夏の海辺。子どもの頃に遊んだ記憶。今、浜辺で海水に濡れた身体に隅々まで砂をまといつかせて。童話のような無邪気な光景。

5/
堪(たま)らずに漏(も)らした声に相槌(あいづち)を打つ生き物が掌(て)の中にいて

 小人の命を文字通りに掌中にして。握りつぶすことも思いのまま。

6/
五分でもいいの神様あの男性(ひと)を強姦できる腕力(チカラ)を貸して

 もしも、長いが叶えられたら。ここから、一編のファンタジーが生まれるでしょう。

7/
自らを求むる者の為に待つ私の門はいつも大きく

 女神のような巨大女性が、大股を開いて小人たちの頭上に塔のように聳えています。

8/
唇で雁首(くび)の周りを締めつけて軟口蓋であなたを殺す

 殺して欲しいです。

9/
襞々(ひだひだ)の奥をどこまで探っても見つけられない私自身は

それでも、探したいのがGTSフェティシズム。胎内回帰願望。



もちろん、こういう特殊な読み方ができる歌だけではありません。作者の女性の優しさが感じられる名歌をさらに三首。

10/
聴きたいの我慢できずに漏(も)らす声もっといっぱいなめてあげるね

11/
口唇(くちびる)でなぞる貴方の強張(こわばり)の浮き出す筋の先の先まで
 
女性でないと、見ることができない視点。根本の方から、固い幹をつたい、はいのぼる蔓のような太くなった血管。それらを上へ上へとたどりながら、キスをしている。それは、亀頭の周囲の溝に達している。さらに先へと球体を登っていく口。やがて裂け目にたどり着く。

12/
打算なくただ唯(ただ)喜んで欲しいだけあなたの体温ゴクリ嚥(の)み込む

 ありがとうございます。こちらこそ、ごちそうさまでした。「体温」というところに、女性の実感があるのだろうなと思います。今まで男性の身体の一部分であったもの。それを体内に入れること。二人の体温が混じり合う時。

次のような小女子願望の歌もあります。こちらの方が強烈で、迫力があると感じる方もいらっしゃるでしょう。

13/

クシャクシャに丸めて欲しい掌(て)の中でどんな形も思いのままに

14/
口腔で足の指から消化(とか)されるハラペコ大蛇に呑まれた私

15/
1/10スケールの縮尺で貴方の口腔(くち)に溺れてみたい

16/
背後(うしろ)から串刺しにされ潰(つぶ)されて溺れ死のうかベッドの海で

興味のある方は、ぜひお手にとって、すべての歌を鑑賞して頂きたいと思います。


笛地の本には、ピンク色のペンで作者名が書かれてあります。貴重な品を頂いたことに、この場所を借りて再度、感謝を申し上げておきます。ありがとうございました。

(注記:カッコ内のふりがなは、作者のつけたものです。)

笛地静恵
(2010.3.11)


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