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:思春期の少年の心の世界
2011-04-02 20:38:54
By:笛地静恵
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1・作者の「あとがき」に、興味深い自作の解説があります。
2・著者は、この作品を「僕の思春期に根ざして生まれた物語」であると規定します。
3・それは「あのやっかいな時代、僕は元来の内向性にさらに磨きをかけて教室の片隅で石ころのように過ごしていました。そんな頃の女子というのは、僕から見ればこの漫画の巨大少女群のように強力で理解不能で、しかし魅惑的な存在だったのです。少しでも関われば僕の小さな自尊心はズタズタにされてしまうそんな世界」であったのです。(222~223頁)
4・なんと印象的な言葉でしょうか?
5・今、思春期を送っている人も、かつて思春期の少年であった大人たちにも、共感を覚える反省だと思います。思春期についての、これほど率直で真実な自己表現には、出会った記憶がほとんどありません。
6・作者は、「当時のにがい自分を覗き見る事」という行為に苦しみつつ、この魅惑的な世界を創造することに成功しました。
7・変形する宇宙船、ロボット、バイクと機械装置を乗り継ぎつつ、思春期の少年は、巨大少女たちに戦いを挑みます。冒険SF漫画としても読むことができるでしょう。
8・考えてみれば、巨大少女というイメージが、ただちに性的な快感と結びつくという事自体が、おかしなことです。脳内に快楽物質を分泌せずに、恐怖と言う感情を呼び起こすという事もあり得るでしょう。
9・仮に、そのような精神が自己を充分に表現することができたとすれば、このような作品世界になることでしょう。
10・ただこの作品の重要な主題であるいじめについては、仮に作者に実体験があるとしても、笛地には、作品世界を成立させるための一種のアリバイ工作であるように思えました。
11・女子生徒の制服の山のような肉の膨らみ、短いスカートから延びた塔のような太腿の皮膚のはり、黒い湖水のような瞳の輝き。それらは、それ自体で、思春期の少年の卑小な自尊心には、少女という巨大な謎として厳然と存在していると思えるからです。
13・デバイスと言うと、たとえば、コンピュータのデバイスと単語への連想などから、キーボードやハードディスク、ディスプレイ等々の機械装置や道具という、ハード面を考えてしまいます。しかし、もともと工夫や、計画や、計略や、たくらみというソフト面の意味が、強かった言葉です。少女のたくらみと言う意味で、とっても良いでしょう。
14・つまり、このハードな戦いの世界には、さらにソフトな戦いという、もう一つの世界があり得ると思えるのです。理解不能で魅惑的な少女というたくらみ。その心の世界そのものへの旅です。
15・どうしてぬいぐるみが、命を持ち得るのか?
16・作者が、新たな創造の旅に出られることを期待しつつ。



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