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:縮みゆく人々は、幸いである
2013-09-02 21:15:10
By:西九条きたらふ
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  「この小説は昔も今もSFとして売られているが、まったく間違った分類だ」
  「ファンタジー」「寓話」「山ほどの象徴性に満ちている」
    ──スティーブン・キング(『キャリー』『ショーシャンクの空に(原作:『刑務所のリタ・ヘイワース』)』)

  「『縮みゆく男』を「近代文学」として考えるべき」
    ──ハーラン・エリスン(『世界の中心で愛を叫んだけもの』『少年と犬』)


 巨匠たちの言葉に首肯します。
 多くの人々に読まれるべき幻想怪奇文学小説だと思います。「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」のように、それ以上に寓話性に富んでいます。
    【青空文庫】図書カード:ジーキル博士とハイド氏の怪事件 http://www.aozora.gr.jp/cards/000888/card33205.html


 スティーブン・スピルバーグ監督がテレビ映画として撮った「激突!」は海外では劇場公開され、映画監督スピルバーグの劇場デビュー作となりました。(電話ボックスシーンでカメラを覗く本人が映り込んじゃっているのはご愛敬)

 昨今は映画も漫画もゾンビブームですが、ゾンビを発明したと言われる「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」もマチスンの「地球最後の男」が発想の原点だと監督のジョージ・A・ロメロ自身が言っています。(派生作品で私が最初に触れたのは、藤子・F・不二雄「流血鬼」ですが)


 作品紹介としては、町山智浩氏のポッドキャスト音声が手軽でしょう。マチスンという作家の紹介にもなっています。
    町山智浩のアメリカ特電 第45回 『アイ・アム・レジェンド』と藤子不二雄と「時代は変わる」
    http://enterjam.com/?eid=135#sequel


 三度目の再映画化ということでマチスンと息子さんの共同脚本で制作中(一作目も脚本参加)でしたが、マチスン自身が2013年6月23日に死去されました。偉大なる作家に謹んで哀悼の意を表します。
    \x{25b6} 100 The Incredible Shrinking Man 1957 Trailer - YouTube http://www.youtube.com/watch?v=vTIWloXBCww
 翻訳者の本間有氏も亡くなったということでご冥福を。笛地さん指摘で人形の話ということは途中ですね。ラストを翻訳せず亡くなられたのだとしたら、痛恨の極みだったでしょう。


 しかし蜘蛛の種類が「黒後家蜘蛛」だなんて出来すぎています(笑)解説の蜘蛛のメタファ説を読んでいると尚更。
 小さくなってしまうことで奥さんとの性生活に「グロテスク」を感じたりする、なんて描写がありますが、サイズフェチな僕らには「ご褒美じゃん」と一見よく分からない描写かも知れませんねw

 ワイルドライフと性的な匂いの漂う原作は、まさに死と向き合い生を実感するような物語でした。
 私もジャン=ポール・サルトルの「嘔吐」のように、作らずには居られないままに作品を発表し続けることでしょう。

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