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KORAK

Son of Tarzan


公開日:2000.03.23
更新日:2004.09.19


あらすじ

ターザンの息子コーラックは、巨大なハゲタカに襲われ空高く連れ去られてしまった。どこまで飛んでいくのか想像もつかないコーラックの目にやがて大きな街並みが入ってきた。それはまさしく大きな街並みで、住むものは皆コーラックの10倍はありそうな巨人だった。そして巨人たちの見守る中、ハゲタカは巨人の王の手の上にコーラックを放したのだった。

王には美しい娘がいた。その娘の目の前にコーラックは立つと、娘に向かって話始めた。しかし娘はコーラックのことを人形としてしか考えておらず、かわいらしい人形を手に入れた喜びを王に話すだけだった。コーラックは逃げ出すことを決心した。

巨人の手を逃れるのは簡単だった。しかし本当の危険は、その先の巨大なジャングルにあった。コーラックは巨大なトカゲの舌に捕まり、その巨大な口に運ばれようとしていた。コーラックの強じんな筋力をもってしても、巨大トカゲから逃れることは出来なかった。

そのとき巨大な手が伸び、難なく巨大なトカゲを追い払った。その手はそのままコーラックの体を鷲掴みにし、コーラックはまたもそれを振りほどくことは出来なかった。その巨大な手はレイナの手だった。

レイナは再び小さな生きた人形をその手にし、そしてコーラックは自分の無力さを思い知らされたのだった・・・

(No.64 "The GIGANTICS"より)


レイナは監視を倒してまで、コーラックを逃がすために努力した。レイナ自身がコーラックの入った篭を手にして、逃げ出したのだった。逃亡の夜が明け、レイナは水をたたえた谷で一休みすることに決めた。コーラックはレイナの手によって、巨人の国を脱することができたが、相変わらず篭の中に入れられたままだった。そしてコーラックは、レイナと自分を取り巻く殺気を感じていた。

コーラックは、篭から出たいと言ったその時、近隣の部族の戦士が、レイナとコーラックを取り囲むように現れた。慌てて篭に向かったレイナに、吹き矢が雨のように降り注いだ。

矢じりには眠り薬が塗られていた。その矢を大量に受け止めてしまったレイナの巨体は倒れ、そして深い眠りに入ってしまった。レイナの巨体とコーラックの入った篭は、部族総出で担がれ運ばれていった・・・

(No.65 "DEADLIER than the MALE"より)

解説

ターザンといえば戦後の日本で大ブームとなり、日本文化に溶け込み、ジャングルヒーロー物と呼ぶべき新しいジャンルを確立しました。当時戦争に敗れた日本に、多くのアメリカのエンターテイメントが入ってきた。西部劇があまりにもアメリカ的であるのに対し、ターザンは肉体主義でありアメリカをあまり意識させずに見ることができました。そうしてターザンは、敗戦色に塗られた日本人の心に活気を与えていったのです。

ターザンといえば強い存在であり、巨人として描かれることが多かった中、小人のターザンが主人公の漫画がありました。ツヅキ敏三氏の描く「小人ターザン」は、他の作品とは全く違うターザン像を見せてくれました。

この作品も強いターザンとは違う別の姿を見せてくれます。正確にはターザンではなく、その息子コーラックの物語ですが、強いコーラックではない別のコーラック像を見せてくれました。巨人の前で無力なコーラック。戦士として戦うシーンもありますが、レイナの手のひらの上で戦っているコーラックは、とてもジャングル最強の戦士には見えません。最強の戦士と言えども10倍以上の体格を持つ巨人の前では、コーラックはまるでお人形です。

レイナが部族の村に担ぎ込まれた様は、さながら小人国のガリバーのようです。ただレイナは、ガリバーのようにおとなしく地面に縛られたままではありませんでした。あっさりと縄を引きちぎると、部族戦士をあしらってしまいます。このとき部族の戦士たちが、なぜ吹き矢を使わないのか納得がいきませんが、ここで再びレイナに寝られてしまっては物語は面白くありませんので、レイナの暴れっぷりに免じて考えないことにしましょう。


掲載情報

Tarzan Family No.64

[img]
発行:DC
初版:1976年8月
価格:50セント
サイズ:B5・中綴

Tarzan Family No.65

[img]
発行:DC
初版:1976年10月
価格:50セント
サイズ:B5・中綴


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