逢魔ヶ辻の女 ACT.3
中田雅喜 作品
公開日:2000.06.30
更新日:2004.09.17
■あらすじ
くる!
くる!
ダンボが…
男は何かにおびえ、ビルの一室に立て篭もっていた。部屋のドアには家具を積み上げ厳重なバリケードを造り、そして手にはm-16アサルトライフルが。
それでも何かに怯え、窓に隠れるように寄り添い外を伺っていた。
その窓の下には、不気味な影があった。その影は全裸の女のようであったが、その股からは、不気味なものが地面にまで届いていた。それは、力なくしたダンボの耳のようでもあったが、その真の正体は大陰唇だった。
その影は、異常に大きな大陰唇を足にからませたかと思うと、それを吸盤の様に使いビルの壁を垂直に歩いていった。そして小さな換気口の前にまで来ると、大陰唇をさらに膨らませたかと思うとそれに比例して体が縮んでいった。その体のほとんどが柔軟な大陰茎となった影は、目の前の小さな換気口に身を滑らせていった。
ン!?
奇妙な音に気がついた男だったが、何の音か理解できないでいた。天井から何かが這うような音がしていた。かと思う間もなく、天井からアメーバの様なものが落ちてきた。
アメーバのようなもの…それこそがダンボの正体だった。ダンボは大陰唇を体の中に取り込みながら、男の目の前で巨大化していった。そして、その巨体は部屋よりも大きくなり、ビルを半壊し、男がライフルを撃つのもモロともせず、己の欲望を満たすために行動した・・・
■解説
ロリコンものの先駆的な雑誌のひとつであった漫画ブリッコ。宮崎事件以来出版業界ではロリコンと美少女スプラッタものはなりを潜めてしまった。この作品が掲載されたころは、成人指定もなにもなく、誰でもこの手の雑誌を手にすることが出来ました。宮崎事件は、こうしたロリコン雑誌が作った事件だったとされています。しかし今読むと論点はあきらかにずれていると思えます。事の真偽は皆さんの解釈にゆだねることにしましょう。
その当時中田氏は、月刊雑誌「漫画ブリッコ」に「ダンボ」という作品を連載中でした。実はダンボという作品の一部は、「逢魔ヶ辻の女」とう作品名で掲載されたことがあったのです。漫画ブリッコに掲載されたものを紹介させていただきましたが、本当のオリジナルはコミックセルフに掲載されていたらしいのです。しかし、コミックセルフは手元に無いので詳細は判りません。おそらく1984年の半ばのものに掲載されていたのではないかと推測されます。
漫画ブリッコに連載していた「ダンボ」という作品は、ダンボのような大陰唇を持ってしまった少女の話です。こちらは当初のオリジナルダンボから力を引き継いだ少女という設定ですが、小さくなったり大きくなったりするのは大陰唇だけで体はいつも一定の大きさを保ちます。オリジナル版がアイディア先行のギャグであったのに対し、ダンボはストーリー性のある路線を狙ったギャグになっています。どちらも中田氏の個性が色濃く出ており、こうしたパロディ作品でさえ、原作とかけ離れたアイディアを詰め込み、完全に自分のものにしてしまうところが中田氏の才能です。どこどどうするとディズニーのダンボから肥大大陰唇という他に類を見ないアイディアを生み出すことができるのでしょうか。ダンボ+触手系のエロ、それがこの作品の原点であり、そしてこの作品の笑えるところです。
男を丸ごと頬張ることの出来る大陰唇ですから、それを体に取り込むと、まあそれなりの大きさに巨大化するという設定がばかげているものの、さらりと描き流すあたりが中田氏のセンスです。巨大女フェチのお手本のような、手にした男をバイブレータ代わりに使うあたりも同じようにさらりと描き流しています。中田氏は他にも巨大少女の出てくる無限少女という作品を描いていますが、これらの作品は中田氏の溢れるアイディアの一部としての巨人であって、巨人を中心に描いている訳ではありません。それでも、もし新しい作品を発表してくれるなら、また巨人を題材に何かやってくれるだろうという期待はあります。
■紹介している中田雅喜氏の作品
G-ZONEではこの他に下記の中田雅喜氏の作品を紹介しています。
■漫画ブリッコ 《1985年1月号》
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