原作:床下の小人たち
公開日:2001.10.05
更新日:2009.12.23
■物語
クロック一家は人間豆の家に住むボロワーズ。ボロワーズは、人間豆たちが作った道具を拝借して生活しています。ボロワーズが人間豆と呼ぶのは、そう、私たち人間のことです。ボロワーズはとても小さくて、クロック一家の主である、お父さんでさえ人間豆の子供の手に乗るぐらいの大きさなのです。
クロック一家は4人家族。人間豆のレンダー家の家の床下に住んでいます。長女のアリエッティは、毎日同じような生活が続くことに飽きていました。いつも人間豆に見つからないように、その上お父さんとお母さんの目を気にしながら生活するのにうんざり気味。ある日、テレビを見ている人間豆の男の子の後ろから、こっそりとテレビを見ていたアリエッティは、とうとう人間豆の男の子に見つかってしまいました。見つかっただけでなく捕まってしまったのです。
男の子はピートと言いました。ピートは、アリエッティと友達になることを望み、ボロワーズのことを秘密にしてくれることを約束。そして、アリエッティを家族の元に帰してくれたのでした。
そうして男の子とクロック一家の交流が始まったのです。しかし、その交流を楽しむまもなく、レンダー家には一大事が持ち上がってしまうのでした。レンダー家のおばあさんが亡くなり、その遺書が見つからないために家を奪われてしまったのです。実はそれは悪徳弁護士ポッターが、おばあさんの遺書が家に隠されていることをレンダー家に内緒にして考えた悪巧みだったのです。レンダー家は、長年住み慣れた家を出ていくしかないのでしょうか。そして、ボロワーズたちの運命は・・・
■解説
タイタニックの陰に隠れて目立たなかったものの、公開当時は全米興行成績的上位に上がるほどの人気映画でした。 原作はイギリスの児童文学で有名なメアリー・ノートンです。彼女は女優でもありましたが、「The Magic Bed Knob(邦題:魔法のベッド)」で小説家としてデビューした後、次々と作品を発表しました。そのひとつであり、彼女の代表作とも言えるのが、このボロワーズ(原作邦題:床下の小人たち)です。
この映画以前に、ボロワーズはTVシリーズとしてイギリスで放映された作品があります。TVシリーズは、オリジナルのエピソードを入れながらも、原作の雰囲気を忠実に再現していました。映画では上映時間の関係からか、オリジナルの脚本となっています。また映画では、イギリスではなく無国籍な架空の街を舞台にしています。それゆえ原作を知っている方には違和感のあるものかもしれません。原作の雰囲気は別にして、個別に作品としてみるならば、十分な魅力を発揮した作品です。
この映画の映像は、構図も含めて緻密で美しいものになっています。CGを駆使した合成は非常に丁寧に作られていて、アリエッティが手にするろうそくの火の見事なことには目を見張りました。
時代は不明。場所も不明。この不思議空間をつくり出しているのは、使われている道具にあります。例えば街の中を走り回る車は、自動車マニアなら垂涎の第二時大戦後無数に生み出されたミニカーと呼ばれた車たち。こうしたセンスが幾重にも折り重なって、小人達がいても不思議のない世界を生み出しています。また個性派俳優たちの演技も光り、小人達を現実のものに感じさせてくれています。
子供から大人まで、楽しむことのできるお勧めの作品です。たまにテレビで映画を放送することがありますので、機会があればぜひ見ていただきたいと思います。
■人間豆
ところで、ボロワーズは人間のことを「人間豆」と呼んでいます。英語では「human beans」ですね。
色々と調べると、作者が「human beings(人間)」をもじって「human beans」としたようです。日本人には、どちらも似たように聞こえますが・・・
こびとたちが、自分たちより大きな人間を「beans(豆)」と呼ぶのは、皮肉を含んでいるようで面白いと思います。
■The Borrowers(ボロワーズ)
[img]■The Borrowers(ボロワーズ)
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