第80話 海魔
高橋葉介 作品
公開日:2000.02.06
更新日:2004.09.17
■あらすじ
「あの沖の島まで泳いでいこうぜ。競争だ」
学校の男子3人で海に来た僕らは、沖の小島まで競争することにした。岸から見たときには近くに見えた小島だったが、実際に泳いでみると遠かった。
小島まできた僕らはヘトヘトに疲れきっていた。小島に上がろうとしたときに初めて気がついたが、3人の手や足には女の髪の毛のようなものがまとわりついていた。
「これがまとわりついて泳ぎにくかったんだ。」
そう言った僕の後ろから笑い声がした。声の方を振り向くと、そこには女がいた。僕らは驚きのあまり動けなくなってしまった。何時間が過ぎ日が暮れようとしていた。僕らは怖くて泳ぐ気になれなかったが、意を決して帰るために海に入った。
ひとかたまりになって泳ぐ僕らの後ろには・・・
■解説
高橋葉介氏はデビュー当時、ペンを使わず毛筆だけで作品を仕上げることで有名でした。しかし現在、その作品の仕上がりを見るとペンを使っていることは明白です。しかし主線にあの毛筆のような滑らかさが残っていたので、作品風は健在のようで密かに喜んでいました。この作品の巻末に主線には筆でと書かれており、改めてまだ筆を使われていることを確認しました。
道具はあくまでも表現手段のほんの一部なので、こだわりがあろうとなかろうと読み手には関係のないものです。しかし道具が持つ味というのは絵だけではなく、その構成やストーリー自身に現れることもあるので、侮れないものであることは間違いありません。そして高橋氏が筆を道具に選んだことは、その作品の方向性に大きく影響を与えています。また高橋氏はそれらの道具を見事に使い分け、筆という道具で作品を生み出すための手法を確立しています。
そういった礎を強調せずに作品に自然になじんでいるのは、見事としか言い様がなく、その作風をまねし難いものにしています。
■学校怪談 第 5巻
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