多額の遺産を母親から引き継いだナンシー・アーチャーには、悩みが多かった。父はナンシーが遺産を相続したため自分のことをあまり良く思っていないように思えたし、夫のハリーは自分の財産目当てに結婚した上に浮気ばっかりしていた。彼女は毎日のように、カウンセリングを受けていた。
ある日、浮気中の夫を探しに車で出かけたナンシーは、光り輝くUFOに襲われる。UFOの話を保安官にするが今一つ信用されない。改めて夫と現場に行くとUFOが現れて夫の目の前でナンシーだけがさらわれてしまう。やがて彼女は夫の浮気先の女が経営する美容室の屋上で発見された。家に帰った彼女の体に大きな変化が現れた。
ナンシーの体はみるみる膨れ上がり、ネックレスが千切れ飛び、服のボタンが飛び、そして彼女の頭は2階の床を突き抜けてしまった。そうナンシーは巨大化してしまったのだ。
医者を呼び治療方法を見つけだそうとナンシーの体を検査したが、治療方法どころか巨大化した原因すらつかむことすらできなかった。しかし家族の心配をよそに、ナンシーは自分が巨人となってしまった状況を楽しみ始めるのだった・・・
ショットガンは巨大な指先ではじき飛ばしてしまう
解説
この映画1958年に公開された同名(邦題:妖怪巨大女)の映画のリメイクになります。本作品中でナンシーが街で最初に訪れた映画館で、オリジナルの妖怪巨大女が上映されていて、オリジナルへの敬意が感じられます。
この映画自身は低予算で作られていますが、遠近法を逆手にとった撮影が効果的に使われています。この手法はみごとで、特にハリーがプールを風呂代わりにしているナンシーに会いに行くシーンは、その手法ならではの自然な広がりを感じます。またこの手法では遠近の錯覚を利用しているので、俳優は相手が離れたところにいる状態で自然な振る舞いになるよう演技をしなければなりませんが、その演技も実に見事なものです。
この映画についてコラム記事「愛すべき巨大女」にも書きましたので、そちらの方も読んでいただければと思います。
ところでナンシー役のダリル・ハンナ嬢は、特撮モノの映画に多数出演しています。一番有名なのは、1984年のスプラッシュの人魚役でしょう。でも私の印象で一番強いのは、1982年のブレードランナーですね。ハンナ嬢は、見事にレプリカントを演じています。そのときの戦いのメイクは、その後ファッション誌でもモデルがまねるなどしていましたね。そういった経歴のハンナ嬢が、自分でTV用映画としてプロデュースした作品なんです。
ところで、撮影のラッセル・カーペンターは、1997年に大当たりしたタイタニックの撮影をしています。
Published : 1999.06.11
Update : 2006.12.19
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