魔道士の遺産

雑誌「コミック読本SF大特集」より

山本貴嗣 作品

あらすじ

目を開け 娘よ

起きて わが

声に応えよ。

暗闇の彼方から呼び覚ます声は、魔道士のものだった。魔道士は毒を盛られた酒を飲み、死を目前にしていた。魔道士の宝物目当てに、宰相が魔道士を亡き者にしようと謀ったのだ。魔道士は呼び覚ました巨大な娘に、遺言を託した。

「おまえの生命ある限りわが宝物を略奪者どもの手より守りぬけ…」

遺言を託した魔道士は、そのまま大地にくずれた。その骸を乗り越えて娘は、宰相の率いる軍隊に向かい、そして戦いを始めた。

巨大な娘は無敵だった。

宰相率いる軍隊は娘に向かっていったが、巨人に挑むにはあまりにも非力だった。それでも宰相はあきらめず、新しい兵器を手に入れ、何度も戦いを挑んのだった。しかしすべては巨人の前にして徒労に終わった。

そして長い年月が経ったある日、宰相は白くなった髪となりて再び娘の前に現れた・・・

解説

この作品が単行本に収録されているかは不明です。

山本貴嗣氏の作品は、まるでハリウッド映画のようなエンターテイメントを感じます。そしてまさしくこの作品は、ハリウッド映画のスペクタクル映画を彷彿とさせてくれます。全編にわたり登場する巨大娘の無敵さが、絵を通して伝わってきます。山本氏の初期の作品は、線が粗削りで力強さがありますが、そのタッチとこの話とは完璧にマッチしています。そして粗削りではあっても、細部にまで神経の通った構図は、何度読み返してもあきることはありません。大量生産向きではないこの絵柄は、最近のまんがを読み慣れた者には、かえって新鮮に感じるものがあります。

是非とも単行本に収録してもらいたいお勧めの逸品です。

Published : 2000.02.02
Update : 2004.09.17

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