二寸法師

藤本義一 作品

あらすじ

安国寺に身を寄せることになった恵瓊(えけい)16才。まだ父武田信重がつけた幼名、若竹丸の名で呼ばれていた。世の興亡を目の当たりにした若竹丸は、無常観から自分の欲を断つため股間の一物を切り落としたのだった。

ところがこの一物、身の丈二寸の男子となって若竹丸の前に現れたのだ。欲心と共に切り落とした一物。それだけに欲の塊ともいえるこの男子。女子と見れば腰の中に潜り込む。若竹丸は欲心と決別したのではなく、欲心の生みの親となったことに気がつき悔いるのであった。

恵瓊は諱(いみな)を頂戴すると、それまでの名である若竹丸を二寸の男子に与えた。やがて若竹丸は恵瓊と別れ、戦国時代の中に己の道を求めていくのだった・・・

解説

難しい漢字がやたらと多く使われています。それが妙な艶を帯びていて、藤本義一氏の筆さばきは、実に色っぽい。実にエロい。

足下股間を眺める視線で、戦国の世を渡り歩く二寸法師。秀吉との出会いが面白い。もちろん、数々の名の知れた女人の風呂や寝姿も面白く語られる。当然、二寸の背の視線でである。二寸法師からみれば、女はみな巨人である。巨人の国の夜伽話である。

ちなみに一寸は3.03cm。二寸ならば、6cm強。もちろん平時のあそこの大きさが、この二寸法師の背丈なのだ。陰に収まるのは当然といえば当然。腰の中でいろいろとすることもあれば、風呂場で小水に流されることもある。女人の山に冒険探検のごとく挑む二寸法師。そんな取るに足らないような小さな男が、戦乱の中、国を動かすのである。

成りは小さくとも豪快。読んで爽快。是非ともお手にとって読まれたし!

Published : 2002.12.03
Update : 2004.09.17

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