精霊特捜

見上げ村

上藤政樹 作品

あらすじ

倭守夕子(しずゆうこ)は、特殊な力を身に付けた霊能力者だった。倭守の名前を継ぐものはみな強力な霊能者だった。

ある日、妖怪退治の依頼があり、辺鄙な田舎である見下し村にやってきた。村に入るなり夕子の目に入ったのは村の異様な光景であった。家という家は壊れ、まともな家は見たところなさそうだった。

実は妖怪というには、身の丈が10mもある巨大な鬼だったのだ。鬼は厳重な封印の基に寺に安置されていたのだが、この寺の住職はこの寺に来たばかりで勝手がわからないままに、封印を誤って解いてしまったのだ。古文書によって、この鬼を封印する方法がわかった。それには法力か霊力を持つものが2人必要だということで、夕子に依頼があったのだ。

その古文書に従い夕子の体に直接経文を書く必要があった。くまなく経文が書かれたとき、見上げ鬼が現れた。夕子はひるんだが、和尚がお経を唱え始めると夕子の体は巨大化していった。夕子が気づくと、自分の巨大化した体は見上げ鬼と同じ大きさになっていたのだった。

解説

この作品は、上藤政樹氏の代表作ともいえる精霊特捜シリーズの挿入話です。

巨大な女性が登場するのも、実に上藤氏らしい作品といえるので、この見上げ村は上藤氏の巨大女性ものの中でも代表格といっても間違いないでしょう。ストーリー構成も他の作品に比べて力が入っています。ただのエッチ話で終わらせていません。

巨大な鬼に対抗するのに、巨大になるというのは実に単純明快、王道ともいえる展開です。もともとが霊能力のある巫女が巨大化するのですから、いくら巨大とは言え鬼に分があるはずもありません。しかしそれをそうさせないようにしないと、肝心ともいえる状況に展開できないので伏線が用意されています。

お気づきかと思いますが、この全身に写経を施すくだりは、小泉八雲の「耳なし芳一の話」のパロディになります。耳なし芳一では写経が書き漏れがあったことで、芳一が恐ろしい目にあることになりますが、こちらでも同じ展開が待ち受けています。夕子は受ける恐ろしいこととは、期待通り成人向けマンガならではのことになります。そこからさらに話は展開していきますが、そのあたりのことは読んだ方だけの秘密ということで勘弁してください。

上藤政樹氏の他の作品

G-ZONEでは、上藤氏の作品として他に下記の作品を紹介しています。

Published : 2000.02.06
Update : 2004.09.17

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