英雄シリーズ

ヒーローシリーズ

Comic 劇画村塾

劇画村塾をご存知でしょうか。

漫画家の高橋留美子氏が、劇画村塾の出身者なのでご存知の方もいらっしゃると思います。しかし劇画村塾をご存知の方でも「Comic 劇画村塾」という雑誌があったことを知っている方は少ないと思います。若手育成の為に出版されたこの雑誌からは、多くのマンガ家や原作家が誕生しています。ここで紹介する「英雄シリーズ」は、そのComic 劇画村塾に短期集中連載で掲載されたものです。

第1弾 英雄たちの憂欝

“街中で巨大化したものの...”

  • 作:野田万寿夫
  • 画:佐藤 智一
  • 掲載:Comic 劇画村塾 No.3 8月号(雑誌03927-8)

あらすじ

宇宙の彼方から、スーパーチャイルドは地球の平和を守るために来た。しかし地球はここ数年の間、平和そのものだった。無理やり正義の味方の活動を開始するが…

第2弾 怪傑ブリキ仮面

“孫よりも先に到着したが...”

  • 作:野田万寿夫
  • 画:佐藤 智一
  • 掲載:Comic 劇画村塾 No.4 9月号(雑誌03927-9)

あらすじ

怪傑ブリキ仮面は寂しかった。自分のことを覚えている者もいない。そう今は、ミラクルチャイルドの時代だった。

怪傑ブリキ仮面は歳をとっていた。公園での姿はそこらのじいさんと変りはない。ミラクルチャイルドの活躍ぶりを公園から見た後、家路につくと孫のたけしが飯を誘ってきた。たけしこそ今をときめくミラクルチャイルドだった…

第3弾 パートタイムの救世主

“尾行した団十郎が見たものは...”

  • 作:野田万寿夫
  • 画:愛川てつや
  • 掲載:Comic 劇画村塾 No.5 10月号(雑誌03927-10)

あらすじ

地球防衛団団長、新垣権十郎は頭を抱えていた。地球防衛団が怪獣に相手にされないのは、大した問題ではなかった。それよりも毎回「あいつ」に怪獣を倒されてしまうのが問題だった。それは地球防衛団の存在が否定されてしまったような気がするからだ。

新垣権十郎は考えた。「あいつ」が地球防衛団員なら問題はないと。そして「あいつ」が怪獣を倒した後を尾行していくと、愛妻の待つ我が家だった。

第4弾 HEROES あっても なくても ネコのしっぽ

  • 作:野田万寿夫
  • 画:計奈 恵
  • 掲載:Comic 劇画村塾 No.6 11月号(雑誌03927-11)

あらすじ

ウルトラスーパーキッドの正体がマサヨシだということは、誰も知らなかった。彼がウルトラスーパーキッドに変身するためには、蝶ネクタイが必要だった。

マサヨシが住むアパートには風呂がなかった。今日も近くの銭湯に汗を流しに行くマサヨシだった。マサヨシは、蝶ネクタイを肌身離さず銭湯に持っていった。ところが銭湯に蝶ネクタイを忘れてきたのだ。あれがなくては変身できないどころか、悪用されることだってありうるのだ。慌てるマサヨシの前に怪獣が現れた。

第6弾 ときめきのセーラー服仮面

  • 著者:愛川てつや
  • 原案:野田万寿夫
  • 掲載:Comic 劇画村塾 No.8 1月号(雑誌03927-1)

あらすじ

手塚ヒロ子は探していた。着替える場所を探していた。怪獣が現れたので一時も速く変身する必要があった。やっとの思いで場所をみつけたヒロ子は支度を始めた。

ヒロ子が変身し巨大化するには、ヒーロースーツに着替え、ヘッドギアをつけて、それからメイクだ。女の子の変身には何かと時間がかかるのだ。ヒロ子が変身に手間取っている間にどこからか巨大なヒーローが。そのヒーローが着用しているヒーロースーツは、若き日の天才科学者であるヒロ子の父が金に困って質屋に入れたものだった。

解説

第5弾が抜けているのは、巨人が登場しない話なので、このサイトの趣旨から外れるため割愛させていただきました。

このシリーズは、ヒーロー(ヒロインもいるが)の活躍ぶりについて描かれている訳ではありません。

特別な能力を持ったことについて、悩み、葛藤する話は少なくないと思います。超能力をひたすら隠して生活するような話は、このシリーズ以前にも目にした事があります。このシリーズが特徴的なのは、超人として怪獣と戦うというのが、正義のための使命感だけでなく、仕事としての側面を持っていることにあります。ヒーロー自身が仕事として冷めた目で見ている訳ではありませんが、守られている人間達がそのように感じているのです。そこに生まれる悩みは、まるでサラリーマンのようであり、自分の仕事への情熱が時に折れそうになったりする様は、非常に人間的であると言えます。

この雑誌は、小池一夫氏が率いる劇画村塾が発行していることもあり、実験的で意欲的な若手の作品がひしめく雑誌でした。登竜門というよりは、作家達が読者の反応を見る機会として生まれた、言うなればアンテナショップのような役割だったと思われます。プロの作品としては荒削りな感じの作品も多い雑誌でした。そうした意欲的な雑誌でしたので、全体的に見て一般的な切り口を避けた物語である傾向にありました。このシリーズもそうした作品群の一つでした。

雑誌掲載された一部の作品は単行本化されたものも多いのですが、このシリーズの単行本化は確認できていません。

Published : 1999.05.27
Update : 2004.09.21

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