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ExHall

Poser作品の表現力を高める

メタリックの表現

2009.06.06

メタリックな感じ、つまり金属光沢の表現手法について考えてみようと思います。今回はDAZのフィギュアAiko3にメタリックルックなボディスーツを着てもらうということで解説を勧めたいと思います。このAikoさんには、本サイトの解説に何度か登場してもらっていますが、実はAiko3にはボディスーツのようにボディラインが変化するモーフデータがあるのでそれを使います。Aiko3の入手先は、この解説の最後の方に記載しておきます。

モーフ設定

Aiko3比較

Aiko3には非常にたくさんのモーフがありますが、その中には、体にフィットしたスーツを着たような感じにするためのモーフがあります。

右図は、Aiko3の当該モーフのパラメータを1にしたところです。比較のために、向かって左側が未設定のAiko3で、右側が設定済みのAiko3です。

モーフパラメータを設定した所は、テクスチャマップを外して色指定をしてあります。白い部分です。色を変えただけでもスーツぽい感じがしますが、良く見ると細部の形状に差があります。

Aiko3の各パーツには、○○Spandexというような名称のモーフがあります。このモーフを1にすると、体にフィットしたボディスーツを着たような形状にAiko3が変化します。

首のパラメータを1にすると、頭と首の境界に段差が生まれます。首のマテリアルを白色に変更すると、ちょうど少し厚みのあるスーツを着たようになります。こうした変化は他の部分のモーフにはないので、他と比較すると少し奇妙な感じもしますが、一般的に顔の部分がアップになることが多いことや、他の服を直要した時には、重ね着のような効果も期待できるで使い勝手は良さそうです。

右肩と左肩のモーフはほとんど変化が無く、胸のモーフでは、胸の谷間が布地で覆われたように変化します。

Aiko3比較

腰部のモーフは、胸のモーフと似ていています。正面から見てもその変化は判りませんが、背面から見るとお尻の割れ目が布地で覆われたようになってりうのが判ります。

腹部のモーフは、あまり変化しません。むしろ重要なのはおヘソのくぼみを消すことかもしれません。ヘソを消すためのモーフはpHipSpandexではなくて、pNavelGoneになります。ヘソ出しスーツの表現も可能なように、別のモーフになっているのだと思われます。

首のところのモーフを設定しなければ、水着のテクスチャを貼ったり、レオタードを貼って楽しめそうです。

マテリアル設定

メタリックな感じに仕上げるには、マテリアル設定を使います。プラモデルの塗装や仕上げに当たるのが、マテリアル設定です。下図は、マテリアル設定を色々と変えて、その違いが判るようにレンダリングしたものです。

メタリック設定比較

左から、追加ノードを使わずにルートノードの設定のみで表現したもの、次が光沢ノードを使ったもの、その次が異方性ノードを使ったもの、さらに異方性ノードと光沢ノードの合わせ技を使ったものです。

このようにメタリックの表現について考えていくと、一口に銀色といっても種類があることに気がつきます。実は銀色というのは単純な色とは異なり、表面の乱反射の具合が銀色として認識されるのです。

ちなみに塗装テクニックとしての銀色には2種類あって、ひとつはメッキを使ったもので、もうひとつはメタリックパウダーを使ったものです。メッキは金属そのもので覆う方法ですので、塗装とは呼べないかもしれません。メタリックパウダーを使う方法は、実際の金属の持つ特性を生かしたもので、非金属に混合されて使われることも多い塗装方法です。パウダーとして多く使われるのはアルミですが、アルミ粉末の大きさや形状によって輝き方に差が出ます。

また塗装表面の仕上げ方によって、光沢に差が出ます。表面の滑らかさが光の波長以下になると、いわゆる鏡面の状態となり周囲の景色が映り込んできます。メッキでは鏡面なので周囲が映る鏡にも利用されます。

表現的に難しいのは、メタリックパウダーによる銀色です。光沢の少ない銀色は特撮巨大ヒーローが着用しているスーツ、光沢のある銀色は自動車のボディを想像してもらえれば良いかと思います。あの銀色の表現は失敗すると白や灰色になってしまうのです。

追加ノードなし(ルートノードのみ)

ノードなし

ある程度の表現ならば、追加ノードを使うことなく表現することもできます。古い特撮映画に登場する巨大ヒーローのような、銀色の表現ならルートノードの拡散色と鏡面色を白にし、ハイライトサイズを0.3〜0.5あたりに設定することで表現できます。実際、以前のG-ZONEのトップページの巨大ヒロインのスーツは、そのように表現していました。

この設定の場合、照明の位置関係で銀色に見えなくなることがあります。そのため思うように照明の位置が決まらないこともあります。

光沢ノード

ノードなし

光沢ノードを使うとメリハリがつきます。追加ノードなしではのっぺりとした感じの光沢が、いかにも銀色といった風情になります。この光沢ノードは、代替鏡面に繋いであります。代替鏡面にそのまま繋いでしまうと、あまりに明るくなりすぎるので、少し抑えるために代替鏡面にグレーを設定してあります。代替鏡面の色は、代替鏡面に繋いだノードを最終的に調整する時に便利です。

詳しい設定については、異方性ノードと光沢ノードの合わせ技の解説を参考にしてください。

異方性ノード

光沢ノード

異方性ノードは光沢というよりも、照明の映り込みを表現する時に使います。周囲の映り込みであれば反射ノードを使う方法もありますが、異方性ノードの方がレンダリングに時間もかからず手軽な映り込み表現ができます。また反射ノードは、周囲に映り込む物体がなければ意味を成しませんが、異方性ノードはライトがあればOKです。

ところでライトは照明のためだけにある訳ではありません。ライトにある設定を施すと、明るく照らす照明としての役割を失いながらも、映り込みには応じる器用なことが行えます。上図のレンダリングには3つの照明を使っています。1つはIBLで、残りの2つは無限光です。その無限光のうちの1つに細工をしました。

この細工したライトのお陰で、欲しい所にハイライトを演出することができました。胸のところにハイライトが入っているのは、この細工したライトの効果です。

異方性ノード

右図はライトのマテリアル設定です。向かって左は普通の無限光で、右が細工をした無限光です。赤丸のところに注目してください。拡散の色指定が黒になっています。この設定によって、通常のライトとしては作用せずに、反射だけされる不思議なライトになります。明るさには影響せず、それでいて光沢の演出に使えるのです。

このライトを覚えておくと作品の演出の幅が広がります。例えば、目にハイライトを入れる時などに重宝します。

異方性ノードと光沢ノードの合わせ技

異方性ノード+光沢ノード

異方性ノードと光沢ノードを合わせて使うと、メリハリのる金属光沢を演出できます。

メタリックルックなスーツということで作例を作りましたが、ここで紹介したテクニックは応用範囲が広いと思います。へんてこな名称でいまいちピンとこない異方性ノードが、結構使えるノードだということが分かれば、作品の演出に一役買うことと思います。

この2つのノードの接続については、ここをクリックして表示される図を参考にしていただければと思います。

写真画像を使う

異方性ノード+光沢ノード

ちょっと番外テクニックとして、写真を光沢ノードの代わりに使うテクニックを紹介します。

映り込みを表現するのに、テクスチャマップがしばしば使われます。とりあえずフリーのバックグラウンド画像を使って、光沢ノードの代わりに使用してみたのが右の図です。元の絵が、どんな絵だったかあまりはっきりと見えないのは、周囲から照らすライトが強いためです。このテクニックは明るいシーンよりも暗いシーンでよく使われるテクニックで、自動車のボディに映り込む夜景の表現などに使われたりします。

このノードの接続は結構複雑ですので、ここをクリックして表示される図を参考にしていただければと思います。

応用作品

巨大娘でメタリックなボディスーツと言えば水着やレオタードではなく、やっぱりウルトラでしょう。ということで首/右肩/左肩/胸/腹部/腰の各パーツに、オリジナルのウルトラな感じのテクスチャマップを貼ってみました。ちょと手抜きなデザインです。光線技が輝くには、昼時よりも黄昏時。ということで暮れなずむ街中での戦闘をイメージして、こんな作品を作ってみました。

Poser作品

ということで、今回使用したモデルは次の通りです。

信号機は改造して使っていますので、そのままダウンロードしても、同じように配置できません。信号機の改造は、PoserとTEXTエディタを使って改造したもので、特別なアプリケーションは使っていません。この改造方法は、改めて解説しようと思います。

腕から放たれる光線は、平面にマテリアル設定をして表現しました。この設定はここをクリックして表示される設定のようになっています。環境色と環境値が設定されているところに注目してください。環境色と環境値を設定すると、暗いシーンで光って見えます。fBmノードは、光線がのっぺりとした感じになってしまうのを防ぐために使われています。

また夕暮れの空は背景にマテリアル設定を施しただけで表現しました。この設定はここをクリックして表示されるような設定になっています。このページの上方の作例の青空は、この設定でブレンダーノードのオレンジ色が空色になったものです。応用が利くと思います。

ちょっと後悔してること

実はもう少し勉強してから、G-ZONEのトップページを作れば良かったなあと思っています。追加ノードの使い方が良く理解できなかったまま、巨大ヒロインのデザインをしてしまいました。今ならもう少し、ましな絵になったと思います。作り直すことも考えていますが、日替わりTop絵なので、結構な量を作り直さないとならないんで、躊躇しています。

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