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ガール・デバイス / 杉山実 キユ 削除
http://www.interq.or.jp/yellow/sugiyama/comic-p/ga-rudebaisu.html
巨大女子高生型兵器(?)との対決っぽい感じです。
まだパラパラとしか読んでないからよくわかりませんが、
濃い目のサブカル芸術系っぽいハードSFみたいです。
ぐぐるといろいろ情報出てきます。
(杉山実さん、有名な人?)
絵柄的にはギリギリ萌えられるレベルだと思います。
巨大さの迫力もまあまあです。
2011-03-18
思春期の少年の心の世界 笛地静恵 削除
1・作者の「あとがき」に、興味深い自作の解説があります。
2・著者は、この作品を「僕の思春期に根ざして生まれた物語」であると規定します。
3・それは「あのやっかいな時代、僕は元来の内向性にさらに磨きをかけて教室の片隅で石ころのように過ごしていました。そんな頃の女子というのは、僕から見ればこの漫画の巨大少女群のように強力で理解不能で、しかし魅惑的な存在だったのです。少しでも関われば僕の小さな自尊心はズタズタにされてしまうそんな世界」であったのです。(222~223頁)
4・なんと印象的な言葉でしょうか?
5・今、思春期を送っている人も、かつて思春期の少年であった大人たちにも、共感を覚える反省だと思います。思春期についての、これほど率直で真実な自己表現には、出会った記憶がほとんどありません。
6・作者は、「当時のにがい自分を覗き見る事」という行為に苦しみつつ、この魅惑的な世界を創造することに成功しました。
7・変形する宇宙船、ロボット、バイクと機械装置を乗り継ぎつつ、思春期の少年は、巨大少女たちに戦いを挑みます。冒険SF漫画としても読むことができるでしょう。
8・考えてみれば、巨大少女というイメージが、ただちに性的な快感と結びつくという事自体が、おかしなことです。脳内に快楽物質を分泌せずに、恐怖と言う感情を呼び起こすという事もあり得るでしょう。
9・仮に、そのような精神が自己を充分に表現することができたとすれば、このような作品世界になることでしょう。
10・ただこの作品の重要な主題であるいじめについては、仮に作者に実体験があるとしても、笛地には、作品世界を成立させるための一種のアリバイ工作であるように思えました。
11・女子生徒の制服の山のような肉の膨らみ、短いスカートから延びた塔のような太腿の皮膚のはり、黒い湖水のような瞳の輝き。それらは、それ自体で、思春期の少年の卑小な自尊心には、少女という巨大な謎として厳然と存在していると思えるからです。
13・デバイスと言うと、たとえば、コンピュータのデバイスと単語への連想などから、キーボードやハードディスク、ディスプレイ等々の機械装置や道具という、ハード面を考えてしまいます。しかし、もともと工夫や、計画や、計略や、たくらみというソフト面の意味が、強かった言葉です。少女のたくらみと言う意味で、とっても良いでしょう。
14・つまり、このハードな戦いの世界には、さらにソフトな戦いという、もう一つの世界があり得ると思えるのです。理解不能で魅惑的な少女というたくらみ。その心の世界そのものへの旅です。
15・どうしてぬいぐるみが、命を持ち得るのか?
16・作者が、新たな創造の旅に出られることを期待しつつ。
2011-04-02 20:38:54
思春期の少年の心の世界・2 笛地静恵 削除
17・この作品の魅惑は、その一コマ、一コマの絵の力にあります。
18・適当な大きさに拡大コピーをして額装し、タブローとして壁に飾っておきたい誘惑にかられます。
19・どのコマでもかまいませんが、たとえば54頁。最下段。画面が増殖する巨大少女の重圧で盛り上がるようです。二次元の画面の表面張力を破って、三次元の世界に侵入してくるような恐怖感があります。圧倒的な密度を持っています。
20・自分を「石ころ」と規定する内向的で繊細な神経を持った少年が、「教室の片隅」から、覗き見た女子の記憶の集積なのです。現実感があります。いつか、どこかで見たことがある風景なのです。
21・画家は、どこかで女子の腕の意外に太い腕の筋肉に驚かされたのでしょう。中央に、少女の盛り上がった怪力を誇る腕を描きます。
22・またあるときには、少女の指の意外な細さに気が付きます。右側には、もやしのように機械から生える指を書きます。
23・またある日には、女子のセーラー服の胸の丸さに驚かされます。左側に二つの隆起を描きます。
24・またあるときには、前髪を垂らした美しい少女の涼しい笑みに、自分に対する嘲笑を感じます。これも、画面に描き込みます。等々。
25・セーラー服を男性の妄想を喚起する究極の最終兵器と位置付けた作家がいました。
26・ここでは、セーラー服が、第二の皮膚のように少年を悩乱する装置になっています。
27・ヌードの氾濫するネットの世界が、日常的に存在する世界では、想像しにくいと思いますが、かつては女性の乳房や陰毛、その下の性器が絶対の秘密として、少年たちの目から封印されていた時代がありました。神秘の領域でした。「理解不能」ゆえに「強力」であったのです。
28・今も、教育や親や学校という周囲の配慮から、少年は、そのような不自由な制限された日々を生きているでしょう。しかし、それゆえに妄想は自由に跳梁していきます。
29・絵の魅惑は少女に留まりません。78~79頁の地下のぬいぐるみたちの街。静謐と神秘と憂愁。ため息がでるばかりです。
2011-04-03 07:55:52
思春期の少年の心の世界・3 笛地静恵 削除
【ここから、先は「ネタばれ」をふくみます。未読の方は読まないでください。】
30・各種のデバイス(装置)は、少年の思春期を終わらせるために置かれていました。その役目を終えた時、ガール・デバイスは、死んでいきます。それが、少女のデバイス(たくらみ)でした。
31・壮大なカタストロフが訪れます。
32・しかし、これで、終わりではありません。
33・この物語の最後に、激しい喪失感を抱かれた方は、作者の杉山実さんのHP『ミノルランド』の訪問を、ぜひおすすめします。
34・そこでは、あのぬいぐるみたちが輪廻転生したキャラクターが、自由奔放に楽しく活動しているからです。
35・作者は、多彩な面を持っているようです。子供向きの仕事のあたたかさには、心がほのぼのします。良き父親としての側面が伺えます。
36・思春期は、須臾に過ぎ去ります。蛹は蝶にならなければなりません。
37・思春期を終えて青年期が始まります。一人の女性への愛へ向けて歩み始めます。
38・性の嵐も始まります。自我という卵の薄い殻であった自尊心だけではすみません。自我そのものをズタズタにされる体験が訪れます。
39・ぬいぐるみの長老の鼻の形は、あからさまに、子どもの包茎のペニスの形をしていました。地下の街にも、屋根の上には、大砲が並んでいました。
40・思春期の子どもたちと接する機会の多い親御さんや、学校の教師や養護教諭の方々にも、読んでもらいたいと思いました。
41・思春期の少年の心の風景が、鮮明が描かれている物語だと思うからです。たとえば、116頁の学校の不気味さはどうでしょうか?
42・「学校に決まってるじゃない」と言われても、これは幽霊屋敷か監獄です。こんな恐ろしい場所に、行けるはずがありません。登校拒否になって当然です。
43・不登校になった少年の心が見ている学校の風景だと思うのです。
42・内面の激しい戦いの克明な記録でもあります。
43・『ガールデバイス』は、思春期という生きるのに困難な季節を描いた傑作です。
2011-04-06 10:11:55
読みました。 naomatrix 削除
素晴らしい作品でした。
GTS作品としてはもちろんのこと、普通に作品として素晴らしい。
系統としては、「ハルヒ」やジェローム・ビクスビーの「今日も上天気」の系譜(?)に属する内容でしたね。
思春期の女の子に対する「得体が知れない」という感情。
それが見事にガール・デバイスという「巨大少女」として表現されており、可愛さと異形さの同居という相反する存在の融合に成功しています。
なまじ容姿が可愛い女の子なので、禍々しい機械の部分や異形さが強調されていていましたね。
あれだけ攻撃を受けておいて傷ひとつつかないロケット・ガールやシティ・ガール、そしてファースト・ガールが流した涙が忘れられません・・・・。
私個人としては「人魚の海」をお書きになった笛地静恵先生が、この作品の登場でどう影響を与えられたのかが気になります・・・・(全く関係ない、と笛地先生はおっしゃるかもですが・・・・)
2011-04-07 00:32:21
naomatrixさんへ。 笛地静恵 削除
世界的に活動するアーチストとは、比較になりませんが。
杉山実さんは、この作品に構想二年、製作三年をかけたそうです。
時間をかけて、じっくりと取り組もうと思いました。
2011-04-08 08:22:08
読みました X-Virus 削除
とても丁寧に作られた作品です。作品の隅々にまで作者の意思を感じる作品でした。何度か、時間を空けて読むことで、作品の奥底にあるものが感じられるのではないかと思われます。
一方、作者の世界観になじめない人もいると思います。冒頭でなじめない人は、そのまま読み進まずに、一度時間を空けて、改めて読んだ方が素直に世界に入り込めるのではないかと思います。
作者、渾身の一作であることは間違いありません。
キユさん、情報ありがとうございました。
2011-04-09 14:27:07
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