Forum

G-ZONE BBS

リチャード・マチスン『縮みゆく男』新訳刊行! 笛地静恵 削除

『縮みゆく男』リチャード・マチスン/著
本間 有/訳
2013年9月13日 第一刷 刊
扶桑社
876円+税
待望の新訳である。訳者のご逝去によって未完成の状態であり、刊行はされないのだろうと考えていた。
嬉しいことである。
小島秀夫氏のツイッターで、初めて知った。

全体の印象として、会話が以前より生き生きとしている。

「はっきりいったらどうだ」と、スコットは切りだした。「いってくれよ、頼むから。いって、すっきりすればいい」31頁
「よくも大事なところを痛めてくれたな。だんだん腫れてきたじゃないか、え?」109頁
「こいつ縮みあがってやんの。そんじゃ遠慮なく」175頁

「『縮みゆく男』あとがき」デビッド・マレル。「訳者あとがき」。町山智弘氏の「解説」の三篇が付く。
400頁余の文庫で、40頁分はある。DVDに特典映像がついているようなものだ。かなりの、お得感がある。

旧訳を持っている方も、買い直して損はないだろう。

ただし、マレルの「『縮みゆく男』あとがき」の部分に、単純なミスがある。

「ドールハウスで暮らすようになると、妻は「もしかしたら、抱っこしてもらえるのかしら、というように、足を投げだし、手をなかば持ち上た女の人形をもってきて」379頁

本文に「その日の昼間に、べスが人形を持ってきてくれていた。べスは人形をドールハウスのポーチにおいていった。」308頁とある。

人形を持ってきたのは、妻のルイーズではなくて、娘のベスである。明らかに誤りである。誤植かマレルの事実誤認かはわからない。

この部分は、訳者の本間有氏が、2009年12月に他界されている以上は、編集か校正の段階で、修正されていなければならない。本文と照らし合わせれば、すぐにわかることである。

次回の訂正を期待する。

2013-09-02

縮みゆく人々は、幸いである 西九条きたらふ 削除

  「この小説は昔も今もSFとして売られているが、まったく間違った分類だ」
  「ファンタジー」「寓話」「山ほどの象徴性に満ちている」
    ──スティーブン・キング(『キャリー』『ショーシャンクの空に(原作:『刑務所のリタ・ヘイワース』)』)

  「『縮みゆく男』を「近代文学」として考えるべき」
    ──ハーラン・エリスン(『世界の中心で愛を叫んだけもの』『少年と犬』)


 巨匠たちの言葉に首肯します。
 多くの人々に読まれるべき幻想怪奇文学小説だと思います。「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」のように、それ以上に寓話性に富んでいます。
    【青空文庫】図書カード:ジーキル博士とハイド氏の怪事件 http://www.aozora.gr.jp/cards/000888/card33205.html


 スティーブン・スピルバーグ監督がテレビ映画として撮った「激突!」は海外では劇場公開され、映画監督スピルバーグの劇場デビュー作となりました。(電話ボックスシーンでカメラを覗く本人が映り込んじゃっているのはご愛敬)

 昨今は映画も漫画もゾンビブームですが、ゾンビを発明したと言われる「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」もマチスンの「地球最後の男」が発想の原点だと監督のジョージ・A・ロメロ自身が言っています。(派生作品で私が最初に触れたのは、藤子・F・不二雄「流血鬼」ですが)


 作品紹介としては、町山智浩氏のポッドキャスト音声が手軽でしょう。マチスンという作家の紹介にもなっています。
    町山智浩のアメリカ特電 第45回 『アイ・アム・レジェンド』と藤子不二雄と「時代は変わる」
    http://enterjam.com/?eid=135#sequel


 三度目の再映画化ということでマチスンと息子さんの共同脚本で制作中(一作目も脚本参加)でしたが、マチスン自身が2013年6月23日に死去されました。偉大なる作家に謹んで哀悼の意を表します。
    ▶ 100 The Incredible Shrinking Man 1957 Trailer - YouTube http://www.youtube.com/watch?v=vTIWloXBCww
 翻訳者の本間有氏も亡くなったということでご冥福を。笛地さん指摘で人形の話ということは途中ですね。ラストを翻訳せず亡くなられたのだとしたら、痛恨の極みだったでしょう。


 しかし蜘蛛の種類が「黒後家蜘蛛」だなんて出来すぎています(笑)解説の蜘蛛のメタファ説を読んでいると尚更。
 小さくなってしまうことで奥さんとの性生活に「グロテスク」を感じたりする、なんて描写がありますが、サイズフェチな僕らには「ご褒美じゃん」と一見よく分からない描写かも知れませんねw

 ワイルドライフと性的な匂いの漂う原作は、まさに死と向き合い生を実感するような物語でした。
 私もジャン=ポール・サルトルの「嘔吐」のように、作らずには居られないままに作品を発表し続けることでしょう。

2013-09-02 21:15:10

四半世紀。 笛地静恵 削除

おひさしぶりです。
リチャード・マチスンも、この四半世紀で
巨匠と呼ばれるような位置にまで、上り詰めました。
隔世の感があります。

日本での評価には、瀬名秀明氏の活動が、特に大きく影響したといえるように思います。

日本人の作家では、辻真先氏が、もっともリチャード・マチスンに近いように感じているのですが、いかがでしょうか?


シュリンカー物の普及には、きたらふさんの貢献も大きかったですね。
これからもご尽力ください。

笛地も微力ですが、活動を続けたいと思っています。
では、また。

2013-09-02 23:05:13

情報ありがとうございます X-Virus 削除

お礼が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

すでにリストに加えてあります。新訳と以前を読み比べてみたいと思いますが、両方とも読み直すとなると、落ち着いて読める環境と時間がほしいですね。

2013-09-09 11:50:06

新規に書き込みをする時には、掲示板の最初のページに戻ってから入力してください。

タイトル
本文
名前 ※必須
メールアドレス
パスワード ※必須