ウルトラマン

第3巻第2話 メフィラス星人

楳図かずお作品

あらすじ

アキコ隊員は、昨日より行方不明になってしまい、弟のサトルは心配していた。科学特捜隊の本部でキャップに相談すると、ハヤタ隊員が捜索してくれるという。さっそく、科学特捜隊の車、ポインターに乗り街に出たハヤタとアキコだった。

偶然かアキコは、サトルを発見した。しかし、サトルの様子がおかしい。サトルをポインターに載せようと、アキコとハヤタがポインターの外に出たとたん、サトルはアキコの手を強引に引き寄せるとポインターを奪ってしまった。ハヤタは素早い行動に何もできず、ひとり取り残されてしまった。

その事件のすぐ後で、科学特捜隊本部前に巨大な卵形の物体が飛来してきた。その巨大な卵形の物体はやがて割れ、中からうずくまった巨人が出てきた。

なんということだろうか、その巨人は科学特捜隊のユニフォームを着ていたのだ。早速、巨人の体によじ登り調査を始めた特捜隊員らだったが、調べれば調べるほど地球人そのものだった。ただ異常に大きいという点を除くと、まさしく地球人だった。しかも、女性であることが判明した。

まだ動作を開始しない巨人に対して科学特捜隊は、巨人をワイヤーで固定して動けないようにすることに決定した。それはまるで、小人国にきたガリバーのようだった。

科学特捜隊員らが見守る中、やがて巨人は動きだした。巨人の体を固定していたワイヤーは、全く無いのも同然の様に立ち上がる巨人。その圧倒的な巨体を見た隊員は、全員が声を上げて驚いた。驚いたのは巨人の大きさにではなく、なんとその巨人がアキコ隊員だったからであった

まさしくアキコ隊員だった。しかし、自分はメフィラスだと名乗り、驚く特捜隊をしり目に、何か巨大な造形を作り始めた。造形物のための材料を運ぶため、街の中を悠々と往来するアキコ隊員。アキコ隊員は、一体何を作ろうとしているのだろうか・・・

解説

あらすじでは、意図的にサトルとメフィラス星人とのやり取りを省いています。ここで書かれているあらずじと平行に、サトルとメフィラス星人は地球を賭けたゲームをします。ご存知の方も多いとは思いますが、これはTVシリーズ「ウルトラマン」を漫画化した作品です。メディアミックス漫画編と言うべき差品です。

TVシリーズの内容をそのまま書き直したものではありません。TVシリーズに先行する形でマガジンに連載された作品で、まんがに向くように脚色されています。

TVシリーズでは、ロボットと化したフジ隊員が無機質的に街を破壊する恐怖。さらには、同じ隊員であるフジ隊員を攻撃できないでいる特捜隊の面々。そういったところに面白さがありましたが、まんが作品では、巨大化したアキコ隊員と特捜隊が、向き合ってやりとりをする。巨人に対するこびとの心理的威圧感を絵で表現しているところが見せ場のひとつを形成しています。巨人vsこびと。そういう意味ではTVシリーズよりも、この作品の方が体現化していると言っても過言ではないでしょう。

隊員のひとりが巨人となって、しかも敵対する巨人となって現れるあたりは、実に迫力があります。巨大化した隊員の扱い方や、計算された視覚効果、それらが見事に融合して迫力のあるシーンをなっています。もっとも楳図氏の画力が、迫力あるシーンにはならなかったでしょう。

見開きでうつぶせた巨人が描かれたコマがあるのですが、そのシーンは非常にショッキングです。そのシーンをご紹介したかったのですが、そのシーンを収録するには、本を壊さないとできなかったので収録はあきらめました。さすがに貴重な初版本を壊すことまではできませんでした。

追加情報

解説にて見開きを紹介したいが、初版本を壊すのには忍びない旨、記述いたしましたところ、ある方より画像を提供していただきましたので、ここにご紹介いたします。

ご覧いただければ、説明の必要もないと思いますが、見事に巨人の巨大さが表現されています。おそらくウルトラマンよりも巨大なアキコ隊員です。画像提供していただきました方に、心から感謝したします。

記事公開日:2000.02.06
記事更新日:2004.09.17

ウルトラマン(下)

著者 楳図かずお
出版社 講談社
発売日 2011/6/10
サイズ 文庫(354ページ)
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ウルトラマン 第3巻

著作者 楳図かずお
発行 朝日ソノラマ
初版 昭和53年7月10日初版
価格 定価350円(税抜)
サイズ 一般コミック・平綴
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ウルトラマン 第2巻

著者 楳図かずお
出版 朝日ソノラマ
価格 630円
初版 昭和59年7月20日

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