ブルー オベリスク

佐々木淳子 作品

あらすじ

白い大地、白い空

明るい昼と、明るい白夜

透き通った家々、クリスタルの街

争いのない平和な国で、ぼくらは育った。

(本文より)

巨大化が止まらないバキュの体・・・ チーエルもバキュの後を追って巨大化を開始した

バキュの髪は黒く、そして瞳も黒い。それだけで忌み嫌う人々。この国の人々は、闇の色の髪の毛を持つ闇の子がブルーオベリスクに至るとき災いをもたらすと信じていたのだった。結局それが元でちょっとしたいさかいになり、バキュは国を追放されてしまった。

バキュは王の計らいで6カ月分の食料を手に入れ、世界の淵に向かった。そこで地面は終わっていたが、その向こうにあるというブルーべりス区を目指した。そんなバキュに思わぬお荷物が・・・チーエル姫が体を小さくしてバキュの荷物に紛れてついてきてしまった。チーエル姫は国王の妃としての地位を約束された高貴の者であったが、まだ幼く、そしてどうしたわけかバキュのことを気に入って始終つきまとっていた。淵を上がるのは不可能な所まで来てしまっていたのでバキュは弱り果てていたが、当のチーエルは喜ぶ始末だった。

そしてとうとうブルーオベリスクを見つけたバキュ。そこには世界を創った闇の霊の力・・・神々が眠っていた。そして神々の意識、つまり体内に引きずり込まれたバキュとチーエル。王の力によって宮殿に引き戻されたが、バキュの体には変化が現れていた・・・

(c)佐々木淳子

解説

少女マンガの世界でSFを描き続ける佐々木淳子氏。ファンタジー的要素の強い作品が多く、この作品もそうした佐々木氏の個性が色濃く出ています。理屈よりも感性が優先しながらも、SFと呼ぶに相応しい作品の中に、この作品も位置づけることが出来ます。

一見ファンタジーで現代社会と関係のない世界のように見えますが、佐々木氏らしいアイディアで、しっかり現代社会とリンクされています。こうしたファンタジー世界と現実世界とのリンクは、常に佐々木氏の作品であがかれています。

さてバキュが巨大化するにつれ、世界とバキュの間で時間の流れ方が変わってきます。巨人の動作が小人から見て遅くなるのは、科学的に見て道理のように思えます。時間の流れが思考の速度や脳の大きさに影響するなら、巨人の方がゆったりとした時間の流れに乗り、巨人から見た小人の動作は、小さな虫のようにせわしく見えるに違いありません。しかしこの作品においては、巨大化するバキュの時間の流れが遅くなるのには、もっと別の理由があるのです。それは読んでのお楽しみにしておきましょう。

記事公開日:2001.04.05
記事更新日:2004.09.17

ブルー オベリスク

著者 佐々木淳子
発行 角川書店
初版 1992年9月17日
ISBNコード ISBN4-04-924311-3
価格 380円
サイズ 一般コミック・平綴
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