アタック・オブ・ジャイアントいづみ

ポヨンチョポヨンチョ第5話

夜野権太 作品

あらすじ

銀河宇宙連盟地球担当エージェント・ポヨンチョ星人プニョプニョは、地球での使命を果たすべく、巷で噂の超美少女・鈴宮いづみを探していた。銀河女性連盟は銀河系の女性の地位向上のため、女性の地位の低い星に美少女戦士となる者を選んで地位向上のために戦ってもらおうとしていたのだ。そしてプニョプニョは、鈴宮いづみの前に現れたのだったが・・・

(第1話より)


突如として東京に現れた大怪獣。自衛隊の攻撃も虚しく、大怪獣によって東京は死の街と化してしまおうとしていた。そうした中、誰もがパニックに陥っていたが、一人だけ冷静にしていた者がいた。

「ついに来たか!!」プニョプニョは、思った。

その時のプニョプニョは、めずらしく深刻な面持ちでいた。そして慌てふためくいづみをよそに、ちゃぶ台の上の隠しボタンを押した。するとちゃぶ台の周囲の床が消え、その穴の中にプニョプニョといづみの姿が消えていった。

いづみらが落ちた穴の先は、なんとプニョプニョの秘密基地だったのだ。いづみの住むアパートの地下に、ポヨンチョ星人の科学力を結集した基地が建設されていたのだ。

驚くことはそればかりではなかった。そこには巨大ないづみがいたのだ。それはポヨンチョ星人が作った人造人間いづみのクローン人間で、対宇宙怪獣用にプニョプニョが造った、その名も「ジャイアントいづみ」。そして、いづみをそのジャイアントいづみに乗せて戦ってもらおうというのだ。

「乗るってどういうことよ? 人造人間なら勝手に動くんじゃないの?」いづみは聞いた。

いづみの疑問はもっともなことだったが、ポヨンチョ星人に常識は通用しない。脳みそをくりぬいて操縦席があるという。もし、いづみが乗らないのなら、 プニョプニョが出撃して、大勢の報道陣の前で裸になると言い出した。

やむなく、いずみはジャイアントいづみに乗り込んで出撃したのだった・・・

(第5話より)

解説

サブタイトルがかなり通好みのものです。G-ZONEの常連の方にはタイトル見ただけでピーンと感じるものがあるに違いありません。そして展開こそ違いますが、期待を裏切らない話になっています。

巨大女性の代名詞ともいえる古典映画のタイトルをもじっていますが、内容的には新世紀エヴァンゲリオンのパロディです。巨大人型兵器に搭乗して戦うという話です。巨人ということではないので、このサイトの趣旨からは外れてしまようにも思います。しかし全く趣旨から外れてしまうのかというと、そうではありません。

巨大人型兵器。それはロボットではなく人造人間です。そしてその「人造人間ジャイアントいづみ」には、本人と一体化するシステムを備えています。エヴァンゲリオンと同様の考え方です。いづみは、自分とほとんど同じ大きさの怪獣と対面することになりますが、そのリアクションは巨大化した人間のものであると言えます。してみると一体化するシステムと本人からクローニングされた体を得て、それに乗り込んだいづみはまさしく巨人になったと言えるのではないでしょうか。

さて、このポヨンチョポヨンチョという作品は、結構シュールな展開とオチが用意されています。それを完全にギャグとして笑い飛ばそうとするのは、最近の4コマやショートショートのギャグに通じるものがあります。しかし、そうしたシュールさを感じさせない作品に仕上がっています。この仕上がりには営業的な戦略が見え隠れするところではありますが、それもこの作品の持ち味として、面白さに転嫁されていると評価できます。

ちょっと主人公のいづみについて紹介しておきましょう。彼女は既婚の主婦です。設定では34歳。ダンナはちょっと変態で、どうみてももてそうもないオヤジです。いづみは元美少女であっただけに、見た目はそこそこ、内面的にもオバサンと呼ぶには女の子の心をしっかり持った女性です。しかし主婦だけあって、大抵の事にはひるまない性格で、結構破天荒なことをやってのけます。それにプラスして下ネタにも、ひるまない主婦いづみ。ちょっと珍しいタイプの主人公です。

記事公開日:2001.08.08
記事更新日:2004.09.17

ポヨンチョポヨンチョ

著者 夜野権太
発行 アスキー
初版 1997年7月23日
ISBNコード ISBN4-7561-0798-2
価格 571円(本体)
サイズ B6・平綴
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