安国寺に身を寄せることになった恵瓊(えけい)16才。まだ父武田信重がつけた幼名、若竹丸の名で呼ばれていた。世の興亡を目の当たりにした若竹丸は、無常観から自分の欲を断つため股間の一物を切り落としたのだった。
ところがこの一物、身の丈二寸の男子となって若竹丸の前に現れたのだ。欲心と共に切り落とした一物。それだけに欲の塊ともいえるこの男子。女子と見れば腰の中に潜り込む。若竹丸は欲心と決別したのではなく、欲心の生みの親となったことに気がつき悔いるのであった。
恵瓊は諱(いみな)を頂戴すると、それまでの名である若竹丸を二寸の男子に与えた。やがて若竹丸は恵瓊と別れ、戦国時代の中に己の道を求めていくのだった・・・