テレビおじさん

原題「Der TV-Karl」

原作:クリスティーネ・ネストリンガー

あらすじ

テレビを見るのが大好きな少年アントーン。それが僕。あるときふとしたことからリモコンに隠されていた青いボタンがあることを見つけた。それが始まり。そこで平凡で退屈な日々は終わったのさ。

テレビの中からおじさんが、僕に話しかけてきた。「僕はカール。テレビが一方通行じゃないほうが面白いだろ。」それから僕とおじさんは友達になった。青いボタンを押すことで、おじさんの部屋に繋がるという訳だ。おじさんとの話は楽しくて、そしておじさんは僕の勉強も手伝ってくれたのさ。だから僕の成績は、ぐんぐんとあがっていったんだ。

あるとき僕のいないあいだに、おじさんはテレビの中からでてきた。おじさんはテレビから出入りできたのだ。ところが戻るときちっと手違いがあって、僕が手伝ったのさ。出入りは自由にできるらしいけど、外の空気に触れていると体が少しづつ縮んでしまうんだって。だから4、5時間が限界なんだってさ。

大変なことが起きた。僕の誕生日に両親が新しいテレビを買ったのだ。それも僕の出かけている間に勝手に入れ替えてしまった。しかも、そのときテレビおじさんは、テレビの外にでていたのだ。おかげでおじさんは、元の世界に戻れなくなってしまった。だんだん小さくなっていくテレビおじさん。僕はおばあちゃんに相談の電話をしたのだった・・・

解説

この物語は「クラインフラース村に住んでいたアンナ・Mの家を取り壊すときに発見されたアントーン・Mの日記(本文より引用)」なのです。あくまでも日記。日記ですから、何月何日これこれこんなことがあったと書かれています。架空の子供の日記を作り上げ、すべて子供の目線で物語は描かれていきます。誰もが経験してそうなことを織り交ぜて、経験してそうもないことを書いてあるのです。楽しい物語です。

子供と子供。大人と子供。子供と親。そういった関係を通して大人の身勝手さが描かれています。そうです、子供は親が思う以上に多感で賢いのです。なかなか子供の気持ちを理解できない親がいる一方で、子供と友達になれる大人もいるのです。それを子供の目線だけで描ききったのがこの作品。大人の目で読むと、子供の頃の感情が思い出されてきます。もしあなたが、お子さんのいらっしゃるお父さんやお母さんなら、お子さんと一緒に読んで共通の何かを掴むきっかけとなるかもしれません。

縮んでいくおじさん

子供にとって、お父さんでもお母さんでもない、友達の大人がおじさん。大人の豊かな経験で、自分(子供)の相談に乗ってくれる頼もしい味方がおじさんという存在なのです。

ところがあるとき、その大親友であるおじさんが困った事になるのです。そして保護者のように助けなくてはいけなくなってしまうのです。しかも普通の大人ではありません。抱いて運べるような小さな大人なのです。本当の保護者のようになってしまうのです。こうしたところが子供心をくすぐります。

記事公開日:2004.02.01
記事更新日:2004.09.21

テレビおじさん

原作 Christine Nostlinger
翻訳 佐々木田鶴子
矢島真澄
発行 偕成社
初版 1997年9月
ISBNコード ISBN4-03-631150-6
価格 1,200円(税別)
サイズ A5
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