小さいカーラ

矢萩貴子 作品

あらすじ

小人に縛り付けられてしまった好きな人に思い切って告白したカーラ。しかし思いの相手は、すでにカーラの姉とつきあっていた。小さい体のせいで何事も上手く行かないと常日頃思っていたカーラの怒りは頂点に達していた。そんな様子を見かねた母親が、叔母の家にカーラを預けることにした。

叔母の家に向かうため船に乗ったカーラだったが、船は嵐のために難破。カーラだけがかろうじて助かった。カーラが漂着した島は、なんと小人の国だった。

カーラを数えきれない綱で地面に縛り付けた小人たち。小人たちはカーラが巨大であっても女であることを知ると、動けないのを良いことに色々といたずらを始めたのだった。

一方カーラは、身動きがとれずに小人たちになすがままにされていた。しかし綱は小人たちが考えている以上に、カーラにとって無力な存在だった。

小人を踏みつぶし、やすやすと綱を断ち切ったカーラは、小人たちに反撃を始めたのだった。

小人たちにとって、あまりにも巨大なカーラ。背の低さにコンプレックスのあったカーラが 今では向かうところ敵なしの巨人なのだ。カーラの攻撃はだんだんと過激になっていく一方で、あまりにも小さくてひ弱な小人たちはカーラと戦いに挑む気力さえ失っていった。

そんな混乱の中、カーラを縛り付けることにさえ抵抗を感じていた小人の国の王子が、勇敢にもカーラに立ち向かって行ったのだった・・・

解説

原作はいわずと知れたガリバー旅行記です。グリム童話ではありませんが、王子とお姫様をストーリーに持ち込んだことで、この雑誌に収録された他のグリム童話を題材にした作品群にとけ込ませることに成功しています。

ホラーにも近い残酷な物語を売り物にしている雑誌ですので、当然ながらこの作品も残酷さは過激です。素足の少女の下に無数の血だらけの死体という構図は非常に生々しく、少女マンガらしい絵柄のために、むしろ過激さが強調されているようにも思えます。

この体格差を乗り越えて愛に陥って行く王子とお姫様ですが、この物語にはハッピーエンドは用意されていません。ここまで残酷でなければ、他のグリム童話とはなじまないからなのでしょうか、最後まで残酷なシーンが続きます。

記事公開日:2006.11.05
記事更新日:2006.11.05

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