究極論ヒロイン

四位晴果 作品

あらすじ

父親の転勤のために転校を余儀なくしたサチ。転校先でなじめなかったサチは、不登校、そしてひきこもりになってしまった。そんなある日、街に怪獣が現れた。

市民が避難して無人となった街。しかしサチは街に残り、破壊される様子を眺めていた。誰もいないと思っていた街に、なぜかおでんの屋台。不思議なおでん屋のおやじの持っていた魔法のアイテムはおもちゃなどではなかった・・・

不思議ないきさつと成り行きで、サチは巨大魔法少女として街を地球を救わなければならくなってしまった。嫌がりながらも怪獣が現れるたびに戦うサチ。戦いもだんだんと日常化していくのだった。

しかしそんなある日、突如戦いの中で恐怖を感じたサチは・・・

© 四位晴果

解説

水を差すようですが、巨大美少女に変身する主人公は男です。男が女に、さらに巨大化。性を変えて異質なものに変身する意味については別の機会に書くことにします。

怪獣が出てきて街を破壊する様子を心のどこかで喜んでいたサチ。自信を失い目的を持てなかったサチが、戦う運命に押し流される様は、この非常識なシチュエーションの中で最もリアリティのある部分なのかもしれません。

戦いの中で恐怖を覚え、再び自信を失ったサチは、運命を呪うことで自分の弱さを忘れようとします。やがて人生2度目の引きこもりの中で、自分の都合だけを考えていた自分に気がつきます。

ひきこもる度に表舞台にひきずりだされたサチは幸運です。物語中でもサチ自身がそう思っています。人は自信を失ったとき、人生を失ったと感じることがあります。自信は実に簡単に失うことができます。しかしそれは本当に人生を失うことではないはずなのです。たとえ投げやりでも生き抜いていくことには価値があるものです。そうしたことが巨大魔法少女への変身を通して描かれているいるところが、この作品の面白さに繋がっています。

記事公開日:2006.11.12
記事更新日:2006.11.12

週刊少年サンデー 2006年32号

発行 小学館
発効日 2006/07/26
価格 本体229円税別
サイズ B5・平綴

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