すこし大げさな例かもしれないけれど、身の丈千メートル近い女性がちっぽけな白鼠と夫婦になったとして、はたして幸福が得られるものだろうか?(作品冒頭より引用)
彼とはじめて出会ったとき、ささやかな海難事故で打ち上げられた直後だった。身の丈5センチそこそこ、まるで女の子のほしがる最高の玩具といった感じだった。
小さいながら彼はことあるごとに、雄々しさを証明してみせてくれた。実際、彼は大きさを別にすれば、完璧な男だった。骨がないのに固くなる部分も完璧だった。その部分を思いのままにできる快楽のためには、父や母の口うるささも忍耐することができた。
王様の宮殿にのぼってからも、彼を思うがままにして楽しんだ。明るい光のもとで、小さいながらも完璧な彼の全身をつぶさに観察するのは面白い遊びだった。姉や妹も、あの愛らしい器官を人差し指の上にのせて楽しんだことも度々だった。まったく無害な玩具なので、まだ年端のいかない感じやすい女の子でも、おそれることなく、それは恥じらいつつ萎えしぼんでゆくさまを観察することができるのだった。
自分たちが図体こそ巨大だが無邪気な少女たちなのだと、信じ込ませることができて、私たちの肉体におしつぶされる危険が無いことを知ると、彼は自分からすすんで積極的に動くようになった。わが戦士は探検の版図をしだいに遠方へと広げてゆき、お臍へ剣呑きわまる踏査行にでかけたりするようになった。
当然のことながら、彼の操を奪う特典は私にゆだねられた。私はベッドに腹部を上にして寝そべると、胴着やコルセットのたぐいを脱ぎ捨てた。密やかな足音につづいて、私の身体の上で左右にころがる彼の小さな肉体。あの雄々しいものの微妙な感触。彼は胸から腹を通りすぎて、さらに下へ下へと降り、森林におわれた襞のほうへと滑降をつづけてゆく。用意周到に私の髪の毛を編んだロープにすがりながらも、湿潤した部分のむんむんとする熱気におしひしがれそうだと抗弁した・・・ついに彼は思いきって、私の中心部へ分け入ろうと決心した・・・私たちは彼を見失ってしまった。あまりの熱気に帰り道を確保するためのロープを彼が手放してしまったからである・・・助産婦の指示に従って細心の注意を払って指で探索をおこなったあげく、ようやく彼を外に引きずり出すことができた・・・