雑誌『小説CLUB』に『姐御探偵』のタイトルで連載されていた作品の改題。作者は過去に『秘本西遊記』を書いており、この作品も副題こそ「超次元西遊記」とされているが登場人物のモチーフ以外に西遊記的な要素はあまり無い。むしろグリコ・森永事件や豊田商事事件など連載当時の時事ネタがふんだんに盛り込まれているのと、月刊連載で主人公の視点が固定されない連作形式のため通しで読むと視点が一定せず疲れるのとで投げっぱなしの結末を含めて「一つの物語」として読むと厳しいものがある。
それでも、猿田悟空らの一行が中華料理の秘法を習得した万珍軒の店主に放屁を浴びせられて身体を自由に縮小させる能力を手に入れる中盤以降のサイズフェチ描写は一見の価値があるので4点。この時期に同じレーベルで泉大八『セクシートラベル』や豊田行二『浮気なエイリアン』とサイズフェチ描写に力を入れた官能小説が相次いで刊行されているので、或いはこの『巡回診療魔』もこの当時の担当編集者の性的嗜好が反映された作品の一点なのかも知れない。
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