まず、ストーリーを簡単に述べる。
女神・尋姫は古来より海を静めるとして村人からの信仰を集めていた。そんなある日、神の国を支えるという「水輪」が何者かに盗まれてしまう。尋姫に見初められた主人公、大学生・狩野六道は、水輪をめぐる抗争に巻き込まれ、翻弄されていく…
本書は、そんな内容の長編エロティック・ファンタジーである（否むしろ、ファンタジック・ポルノグラフィというべきか）。
ストーリー的に特に大きな感動は無いが、コミカルなタッチで安心して読める楽しい作品になっている。まずまずの良作といっていいだろう。
無論、諸星大二郎ではないので、神話的な正確さを期待できるものではない。ただ、以下の神話的真理を突くことには成功していると言えそうである。
すなわち、「神神の色事、末の世の人間のもたもたには似ない」（石川淳「新釈古事記」）
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