★４の上。
著者の11冊目。
見えるものと見えないものの境に棲んでる魔女っ娘は現実と夢の狭間で愛を叫んでいた『境目の住人』。
国際禁止食物を過去から運んでいた組織の人物を追って未来からやってきた女捜査官は刺激物に異常なほど弱かった『ミチトノソウグウ(前後編)』。
子供の頃から忘れ物をしたことがない青年と、忘れ物にされた娘のお話『A thing left behind』。
双根をもつが故になかなか結婚できない王子様『ロミオ』と侍女『ジュリエッタ』の身分を越えた愛の結末に待ち受けていた無情『bridal conditions』。
誰かに望まれていることが存在の条件だったりするお話『いっしょにごはんを食べたりするってことが必要だったりするわけなのさ』。
長い長い長編『黄金色舞台』が終わって久々の短編集ですが、見事としか言いようのない出来映えの一冊に仕上がっています。
風変わりな物語の中に封じ込められたキャラたちは、ちょっとアンニュイな雰囲気を醸し出し、寡黙ながらきっちりと自己主張してくれます。
相変わらず派手すぎる常時汁垂れ流し描写がエロを若干薄めてる感もありますが、フェチ的エロスの感覚もまた相変わらずハイレベルで見応え充分。
長編描くと欠点だらけなのに、短編はやっぱり切れ味抜群。
著者の作品集をどれか一冊と請われれば、文句なしに選ぶであろう一冊。
常時汁垂れ流し許容できるフェチ心強い方へ・まんまる顔が好みの作画派の方へ・物語に味のあるエロ漫画が好きな方へお薦めです。
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