ディズニーもミッキーマウスを主役とした翻案を制作していたイギリス民話「巨人退治のジャック」を原作としたファンタジー映画ですが、キャスト・スタッフを観ても「シンドバッド7回目の航海」の影響とプロデューサーの商魂を強く感じさせます。
キングコングのオブライエン、シンドバット7回目の航海のハリーハウゼンに続く若手アニメーター、ジム・ダンフォースが若干19-20歳で参加した作品として有名です。
コーコラン(なぜかTV放映版ではデモンスターと命名されていた)、ガリカンチュア、シ―モンスター、そして首魁ペンドラゴンが変身した天駆けるドラゴン、等のストップモーションで撮られた怪物以外にも三又の鉾を持った三角鬼や口から突風を履き出すサイレン風のキグルミの魔物が光学合成を加えられて深海魚の如く不気味に発光しています。
シンドバッド7回目の航海でタイトルロールを演じたカーウィン・マシューズが清廉潔白で勇敢な巨人退治の青年、ジャックを、同じく魔術師ソクラを演じたトリン・サッチャーが、巨人・魔物遣いの悪王子ペンドラゴンを其の強烈な眼力で演じています。
フェンシングを特技とするカーウィン・マシューズは剣劇物やSi-Fi映画の出演が多く、このジャンルでは忘れられない爽やかな二枚目です。
お姫様役(途中、農家の娘や魔女のコスプレ有り)のジュディ・メレディスは如何にも古典的な美しさで、ペンドラゴンの部下のガーナ役のウォルター・バークの貧相な不気味さで本作のお伽噺的雰囲気を盛り上げています。
本作を観ると、デザイン・造形・そしてアニメート全てに長じたモデルアニメーターは非常に貴重で有る事が解ります。
ベテラン特撮マン、ウォー・チャンが造形したモデルが、ハリーハウゼン製の物に比べると微妙に不細工で、最初にモデルを観た時にダンフォースが「何かの冗談だと思った。」と言う逸話がある程です(この辺りは洋泉社から出ている「モンスターメイカーズ」に詳しく記されて居ます)。
それでも近所のチリチリ・パーマの小母さんに似たガリカンチュアの顔と可愛いペンドラゴンの動きは良く、観ている内に妙な愛着が湧いてきます。
日本の玩具メーカーさんで是非ともモデル化して頂きたい物です。
お子様と最初にご覧になるモデルアニメとして、お薦めします。