監督:Singeetam Srinivasa Rao
公開日:2007.08.23
更新日:2013.08.28
■物語
アメリカのフィルムセンターで働くジョンは、インドに伝わる奇跡や民話等の伝承について調べるためにインドへとやってきた。南インドにあるモンクシャマン寺院にいる高位の僧侶、スワミジに会うのが目的だ。現地にはジョンの知人が住んでおり、彼はその家に泊めさせてもらうことにした。
スワミジは気さくな人柄で、快くジョンを受け入れてくれた。スワミジは魔力についてジョンに説明をするため、自ら魔力を使ってみせるが、頭から魔力や奇跡を信じていないジョンは、スワミジの呪文が終わるのをいつも待ちきれず席を立ち、結局ジョンはスワミジの力を見ることは無かった。
一方、平和な街とそう遠くない洞窟では、邪悪な力を持った男バイラヴが、スワミジの寺院の守護神である女神像の鼻輪を手に入れようと目論んでいた。この鼻輪には不思議な力が宿っており、手に入れた者に絶大な魔力をもたらすと信じられていた。そしてそれは真実だった。
そんな陰謀がジョンの周囲に起きているとはつゆ知らず、ジョンの心は知人の娘バニに惹かれていた。やがてジョンとバニは相思相愛の仲となっていく。
邪悪なバイラヴは直接寺院に入れないので、手下を使って鼻輪を手に入れるために画策していた。スワミジがこれに対抗したが、鼻輪は手下によって盗まれてしまった。しかしスワミジの魔力による抵抗のため、鼻輪は森の木のウロの中に隠され、まだバイラヴの手には落ちていなかった。
ところが警察の介入があり、この鼻輪盗難事件の容疑者として、ジョンが指名手配されてしまう。スワミジに無実を訴えるジョン。ジョンを信じるスワミジ。スワミジはジョンを匿うことはできないと言うが、ジョンが隠れやすいようにするためにスワミジはジョンに魔力を使って小さな体に縮めたのだ。手のひらサイズに小さくなったジョンは、機知に富んだ冒険の末にバニの部屋にたどり着くことができたのだったが・・・
■解説
インド映画の御多分に漏れずダンスシーンが数多い映画です。ハリウッド映画ならラブシーンが入るところで、インド映画はダンスシーンが挿入されます。ダンスシーンは、ラブシーンのインド流の演出なのです。下手なラブシーンを延々と見せられるよりも、むしろ踊りのシーンで表現されている方が楽しいと言えば楽しいので、こうした演出も悪くありません。しかも踊りのシーンにもリトルジョンは登場します。その意味を考えると、ちょっとドキドキしてしまいます。
バニは小さくなったジョンが友達に見つからないように必死で隠そうとしますが、小さくなったジョンも踊りが好きなようで、危険を顧みず巨大な女性たちが踊り狂う中に進み出て一緒になって踊ります。一緒になって踊っていると思っているのはジョンだけで、周囲の女性たちはジョンの存在に全く気がついていないと言う状況です。実際に巨人が狂喜乱舞する中には、歩み出るのさえためらうと思うのですが、ジョンはおかまいなしに踊り狂っていました。
シャドウマスクにによるクロマキー合成のシーンが多く、ハリウッドであれば巨大なセットを作ってしまうようなシーンでもクロマキー合成を使っています。リトルジョンとバニとの絡みのシーンでは、合成は丁寧に行われています。クロマキー合成は、技術的な部分よりも役者の演技力に頼るところが大きいのですが、卓越した演技力は素晴らしいと言えます。おかげで巨人と小人の絡んだシーンを十分堪能できました。
小さくなったジョンはバニの人形よりも少し小さいようで、人形の家具で食事をするシーンでは、その大きさが伺えます。
この映画は、おそらく日本未公開だと思われます。映画自体、インド国内向けに制作されており、英語の部分もジョンとの会話、それも極一部に限られています。DVDにはありがたいことに英語の字幕があるので、会話の少ないことも手伝って理解に難くない所でした。
■Little John
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