ZERRY藤尾 作品
公開日:2000.01.31
更新日:2002.08.15
■あらすじ
まんが家の男の部屋に、奇妙な生き物が住み着いた。その生き物とは、どこから見ても女の子であったが、机の上をちょろちょろできるほど小さかった。
特に問題もなかったので、男は放っておくことにした。そんなある日、男の友人が遊びに来た。そしてこの奇妙な生き物を見て、人形の服を置いていった。男はせっかくもらった服なので、その生き物に服を着せると、それこそ生きた人形のようであった。
■解説
この作品では、普通説明すべきところを全く省いてしまい話が進行しています。こういった手法は、不条理な世界観を描くときによく使われる手法ですが、この作品にそういった深遠なテーマは感じません。ただ何となく吾妻ひでお氏の作品の雰囲気をいただいて、ZERRY藤尾氏の感覚で仕上げてあるといった作品です。しかし、その軽い感覚が、いかにもZERRY藤尾氏らしいとことで楽しめます。
この軽さは軽快感を満足させるものではありません。この作品の意図するところが性的刺激であり、そうした刺激を満足するための演出が軽快なタッチになっているのです。そうした意味で捕らえるなら、軽快というよりかは軽薄といった方が良いのかも知れませんが、軽薄と言うためには何かが欠けているのです。
この作品には人形フェチに通じるものがあります。この作品に登場する手のひらサイズの女の子は、自ら行動するので人形とは違いますが、自意識を持っているとは言い切れないところが、人形フェチに通じるのです。小さいから人形だと言うことではありません。大きさは関係なく、そこに誰かの思いが込められた造型としての人形であるかがポイントであったりするのです。人形フェチの世界は実に深く、そこには様々な趣向が入り乱れているので、ここで簡単に説明できるといった類いのものではありません。詳しく解説するのは不可能ですが、人形フェチの対象としての人形の定義は、のめり込んだ者だけが知りうることできる、いわば悟りのようなもののようです。人形を愛でる作品のなかには、ばぁびぃ露木氏の「All Night PIGLORION」のように自らの意志で動くものさえあるので、いっそうこの世界を難解にしています。まあ、フェチズムというものは、端からは難解な代物であることには間違いのないものだといえます。
この作品の女の子は、単純な人形ではありません。目的のない行動をする人の形をした生き物です。そして性欲を満たすのです。こうしたこびとは、おそらくこの作品だけかと思います。この不思議さを柔らかく包むオブラートの役目を軽快感が果たしている奇妙な作品です。
■その他の作品
ZERRY藤尾氏の作品は、この他にも「巨大美少女上陸」を紹介させていただいています。
■SMILE
[img]■新SMILE
[img]■漫画ばんがいち《2001年11月号》
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