「Dr.蝙蝠の奇妙な実験室」より
千之ナイフ 作品
公開日:2001.09.22
更新日:2004.09.17
■あらすじ
「ついに完成したぞ。世紀の大発明が!!」
ドクター蝙蝠は大喜びだった。ドクターが発明したのは、ものを巨大化する薬。早速手近にあるものに注射してみるたが、何の変化も見られなかった。いや、それは違った。すこし時間が経ったところで改めて薬を注射したものを見てみると、わずかだが確かに大きくなっている。成功だった。完成祝いをするために、ドクターと助手のミッチーは、街に買い出しにいった。
途中、ちづるちゃんが歩いているのに出会ったドクター。ちづるちゃんがファッションモデルに憧れて、背が高くないたいと言っているのを聞いてしまったドクター。早速例の薬が役に立つときが来たのだ。ドクターは、願いの叶うドリンクと言ってちづるに薬を渡したのだった。
家に帰って薬と知らずに、ドクターから貰ったドリンクを飲んでしまったちづるちゃん。知らず知らずに大きくなっていく。その夜、ちづるちゃんの体は、部屋の中に収まらないほどに大きくなってしまったのだった・・・
■解説
薬で大きくなったちづるちゃんですから、服が次第に窮屈に、やがてそれは破れてしまうのでした。でも直接薬を投与した、くまのぬいぐるみも大きくなるのですから、ドクターも気を利かせて薬を投与した服をちづるちゃんにあげれば良かったのに。ええ? それだとちづるちゃんのヌードが拝めないって? ごもっともなご意見です。いわゆるファンサービスでしょう、ちょっとホラー作品らしくありませんし、設定的には矛盾を残しましたが良しとしましょう。
部屋の中で巨大化する様は、不思議の国のアリスのようです。こうしたシチュエーションは、巨大化というプロセスを身近に感じさせる手法のひとつです、部屋という比較的想像しやすい空間を物差しにして、今ひとつ判りにくい巨大化というプロセスをを想像しやすいように導いてくれます。例を挙げるときりがないのですが、漫画「あばしり一家」や映画「ジャイアント・ウーマン」などが好例だと思います。対象物なしで巨大になっていく様子を表すよりも、身近な物を対象に比較させるのは非常に説得力があります。これは身近な物ほど効果が期待できます。例えば、ビルと比較するよりも電車やバスと比較するといった具合です。この作品の場合、徐々に大きくなっていくわけですが、その大きさに合わせた比較物を用意して、そのプロセスを上手く表現しています。巨大化表現のお手本のような作品です。
なお千之ナイフ氏の作品は、この作品以外にも「コロシアム」を紹介しています。
■ちづる奇譚 第3巻
[img]■サスペリア《2001年10月特大号》
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