いけうち誠一 作品
公開日:2006.11.26
更新日:2006.11.26
■あらすじ
ある雑誌社の編集部から一冊のノートを渡された。そのノートの物語をまんが化してくれというのだ。それは少年が書いた世にも恐ろしい物語だった。
泥棒に入った男と鉢合わせしてしまった少年。少年は母親に留守を頼まれていたのだった。泥棒に乱暴されようとしたそのとき、少年の目の前で泥棒が小さな人形のような大きさに縮んでしまったのだ。少年は人間を小さくする能力が自分にあることを知ったのだった。
手始めにいじめっ子の信ちゃんを縮めてみた。信ちゃんの体に輪ゴムを巻き付け動けないようにしてから、ゆっくりと復讐を始めた。やがて信ちゃんは動かなくなってしまった。
公園でデートする男女。好きな女の子。次々とエスカレートしていく少年。少年の残酷な仕打ちも回を重ねる毎にエスカレートしていくのだった・・・
■解説
子供の無邪気さには、冷徹な残酷さが隠れています。さらに誰も指導しない子供の行動には歯止めが利かないものです。この作品では、その歯止めなき残酷性を最大限に引き出して描いています。
人間を人間扱いしない少年。圧倒的な優位に立つ少年の優越感に対して、歯止めをかけることができない小さな大人。これまで子供に対して力で押し切っていた大人たちが味わう恐怖。少年におもちゃにされてしまう雪辱感。そうしたものが一体となって絵として表現されています。そのグロテスクさは、家畜人ヤプー以上です。無防備に読むと痛いめにあうかもしれない作品です。
ノートを読むという形式で物語を展開することでドキュメンタリータッチとなり、真実味が増して恐怖をあおる構成になっています。ただでさえ残酷な少年の行動が生々しく描かれていますが、それを第三者の視点から描かれているために不気味さが強調されているのです。が、少々演出しすぎたようにも思えます。物語の締めくくりにドキュメンタリーを強調するためか社会性を帯びた解説で締めくくろうとしていますが、物語に無理矢理こじつけたような印象を受けるところが残念です。それでもなお、読む者に衝撃を与えるホラー作品の傑作であることに間違いありません。
■恐怖の叫び(呪いのかつら)
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