サイコすごろく/恐怖の21世紀特集 (5)
千之ナイフ 作品
公開日:2001.04.07
更新日:2004.09.17
■あらすじ
「最近蒸発しちゃう生徒が多い理由、香織、知りたくない?」
「え・・・? 彩子、何か知ってるの?」
普段の何気ない会話のはずが、そのあと彩子の口から信じられない話を私は聞くことになった。
1カ月前、矢戸くんが、私のことをデートに誘っってくれたの。クラスの女子の人気の高い矢戸くんが、私を誘うなんて信じられなかった。矢戸くんとのつき合いを楽しみ、そして愛し合うようになっていたの。ところがね、数人の女子から嫌がらせを受けるようになってしまったの。日に日にエスカレートしていく嫌がらせに…
「私はノイローゼ気味で毎日が憂欝だった…」
そんなある日、不思議な夢を見たの。私の守護天使と名乗る者が、苦しむ必要はもうないと言いながら、コロシアムのミニチュアを私に手渡した。そして夢から目が覚めたはずなのに、部屋のすみにちゃんとそれがあった。不思議に思いつつもよく見ると、コロシアムの中には小さな人影が動いているのが見えて、私は自分の目を疑った。
「ま…まさか…?」
それは私に嫌がらせをしていた女子達だった。みんなで私をののしっているようだった。その姿を見ていた私は、だんだん腹が立ってきて、一人づつピンセットでつまんだりして脅かしてやった。ちょっとしたことで小さな人間は、すぐに動かなっちゃた。まるで私、神サマにでもなった気分になって、彼女たち全員が動かなくなるまで遊んだわ。
その他にも彩子の口からは、次々と恐ろしい話が。ちょっと気味悪くなって彩子にキツイ言い方をしてしまった。彩子と別れた後、強い目まいに襲われた。倒れ、そして次に目が覚めたときにはコロシアムのような中庭に寝ていた私。ふと上を見上げるとコロシアムを覆うような巨大な顔があった。その巨大な顔は、彩子の顔だった。あたりを見回すとコロシアムには、私の他に私と同様、縮められた男が2人いた・・・
(c) 千之ナイフ
■解説
千之ナイフ氏の繊細な線が、ホラーにはよく似合います。縮められた人の話というのは、それだけで怪しげな雰囲気があります。自分の意志とは関係なく縮められるということは、力を奪われ、自由を奪われ、そして命さえも奪われかねない恐怖を感じさせるのに十分です。この作品では、そうして高められた恐怖が、主人公に襲いかかってくるのです。
おとなしかった少女が、自分よりも圧倒的にか弱い存在である小人に対して残虐性をあらわにしていく様は、なかなか怖い演出です。その残虐性はエスカレートしていき、それが頂点に達していたときに、少女はそれまでの罪を償わなくてはならなくなります。最後に救いが訪れますが、それすら作品の恐怖の演出に一役かっています。果たして綾子は、おとなしい少女のままでいられるのでしょうか。
■カマキリ女
[img]■迷宮サーカス
[img]■ホラーM《1月号》
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