単行本「鋼の人」より
吉田戦車 作品
公開日:2000.02.03
更新日:2004.09.17
■あらすじ
サオリは小さかった。身長が20cmしかない。そういう一族なのだ。
今日も朝から小さいが故のアクシデントに見舞われた。サオリを助けたのは、毎朝迎えに来るサチ子だった。そしていつものように、サチ子の自転車の前カゴに乗って通学した。
そんなサオリが恋をした相手は、身長50mのススムだった。ススムの一族は、そういう一族なのであった。
「お、おはよう」サオリは意識しすぎてぎこちない挨拶をした。
「ああ…」ススムも同じようなものだ。
二人は相思相愛だったのだ。やがて、二人は身長差をこえてつき合い始めた。
そんなある日、ススムはサオリを自分の家に誘った。会話ははずんで楽しかったが、ススムは一心にサオリを見ていた。おもむろにサオリの服に指をかけるススム。
「サオリ!」
ススムは感情を抑えることができなくなってしまった・・・
■解説
初恋の物語です。本来なら甘くそこはかな、あと味の残るストーリーなのですが、設定が普通ではないのでギャグになってます。設定だけでオチに結びつけ、こんなバカ話になってしまうというのを見せつけてくれています。
かたや20cmで、かたや50mですから、1:250の関係になるので、絵でコミュニケーションの表現するのは、かなり困難です。絵でみるかぎりは、1:20ぐらいの対比で描かれています。吉田戦車氏の作品は、パースなんか気にしない!という作風なので、このあたりは無頓着に描かれています。
さて、サオリがススムに恋い焦がれるのは理解できますが、ススムがどのようにしてサオリに恋するようになったかは非常に興味深いところです。この作品は、設定をもって恋愛もののパロディにしているので、オチを除くと設定が話の構成に絡んできていませんので、このあたりのいきさつははしょられてしまっています。普通ならば誰かに憧れるときは、容姿を見たとか、会話したとかあると思うのですが、ススムが会話無しで自分の250分の1の人間に恋をするのは、何か特別なことがあったからにちがいありません。普通の人が身長7mm程度の人間を区別し恋する状況というのは、ちょっと想像しにくいものがあります。さて何故ススムは、サオリに恋するようになったのでしょうか。
■鋼の人
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