早見純 作品
公開日:2006.11.22
更新日:2006.11.26
■あらすじ
明るい日差しの中、暗い窓の隙間から覗く双眼鏡。その先には体育の授業を受ける女の子達。男は視線の先にいる、女の子の太ももに小さくなってしがみついた。
太ももは柔らかく、男はそのまま太ももの根元に、ブルマーの中に姿を消した。ブルマーの中は暗く湿っていたが、その香りの源へと這いつくばって進む男。
奥に進むにつれて匂いがきつくなり、やがて男は少女の体内へ続く暗がりの前に出た。そこで一息ついてから、男はその暗がりの中へと入っていった。
しかし男は白昼の光の中へと戻される。ブルマーの中に入ってきた巨大な指が、男の脚をつかむと一気に引きずり出したのだ。
男を漆黒の世界から引きずり出したのは、太ももの持ち主。男は巨大な少女の眼前に逆さまにつり上げられていた。
少女はあまりに小さな男を見て、食べてしまおうと思った。少女は男を口の中に放り込むと、噛み砕き、すり潰し、そして飲み込んだ。男はその願望に満たされ、そして・・・
■解説
早見純氏は、女性との融合への追求を常に漫画作品を通しておこなっていると言って間違いないと思います。女性との融合や体内回帰を描くのは、単なる女性偏愛ということでなく、男が生きる価値そのものを早見氏なりに追求した結果だと思えるのです。
早見氏の作品の中でも特にこの作品は1ページの濃度が非常に高く、非常に煮詰められた緊張感のある構成です。それでいて作品としてまとまっているのは、作者が普段から探求し感じている事象を基にしているからでしょう。静かな話の展開に始まり、その静かさに隠したようなクライマックスが用意されています。早見氏自身この作品を書くことで、感覚的な考えを自ら確認し明確にしたかったのかもしれません。作家の個性的な思想が全面に出てきた作品だけに、そのエネルギーに拒否反応を示す人がいても無理の無いことでしょう。それだけ、この作品にはメッセージ性があるのです。作者の感じる事象が、そのまま伝わってきます。
ところで受け入れにくい作品や思想を区別して受け入れないのはしかたないことです。しかし差別して排除しようと考えることがもしあったなら、一度落ち着いて自分の思想が偏見に満ちていないかを考えるべきときなのかもしれません。
■追加情報
単行本地獄のコミュニケーションの巻末に早見純氏に対するインタビュー記事が掲載されています。このインタビューの中に本作品が、いけうち誠一 氏の漫画作品小ちゃくなあれに触発されたことを告白しています。
■地獄のコミュニケーション
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