雲にのる

本宮ひろ志 作品

あらすじ

仁王丸は、般若のもとから逃げ出した(第1巻より)

仁王丸は、阿仁王と吽仁王の息子。仁王丸は人間の子だが、わけあって阿仁王と吽仁王の息子として育てられている。

阿仁王と吽仁王は、仁王丸を般若のところに預けようとするが、親の束縛を嫌う仁王丸には言いなりになって生活することなど考えたくもなかった。巨大化してまで仁王丸を抑え込もうとする般若から逃れた仁王丸は、己の力を信じて己の道を進もうとしていた。

般若のもとから飛び出した仁王丸は、宇宙の中心にあるという須弥山を目指した。仁王丸の知らないことではあったが、実は、それこそが仏に定められた道で、帝釈天と戦う運命を持っているということにほかならなかった。

途中の道筋で巨大な女性、嵐(ラン)に出会った仁王丸。仁王丸は何らひるむことなく、それどころか自分の数十倍もある巨大な女性を口説きおとした。

何事にも動じない仁王丸に嵐は心を魅かれた(第1巻より)

解説

マーヤは巨大化する力を得て喜んだ(第4巻より)

本宮氏の作品には根性物が多い。体を鍛えるとかのレベルではない。精神の鍛錬という事だけでもない。野望ともとれるほどに大きな志に向かう、ひたむきな姿勢で人生を全うする類いの性根を描いています。

そういった信条をもって仏教の世界を描いてしまうと、このような作品なるのでしょう。強引に描いてしまっていますが、そうした強引な論破の多いのも本宮氏の作風といえるでしょう。

本宮氏のコメントでは、主人公には野望はなく無心なのだそうです。その無心さも、凡人の見地からは壮大な野望のようにしか思えません。無心の境地に達すると体の大きさは関係なくなるらしく、巨大な仏に惚れて寝たりします。この話を少年誌でやってしまう本宮氏の堂々たる描きっぷりには感服する他はありません。

主人公は途中で巨大化する能力を開花させます。第4巻では主人公の妹マーヤも巨大化する力を得ます。体の大きさがそのまま力の象徴としての大きさを表現しているので、見た目に分かりやすく楽しめる演出になっています。

ところで、嵐というキャラクターは本宮氏のお気に入りのようで、「天地を喰らう」でも登場します。全く別のキャラクターのはずですが、似たような設定で登場しています。いずれ天地を喰らうも紹介させていただくつもりです。

Published : 1999.05.01
Update : 2004.09.17

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