巨人の惑星

原題:LAND OF THE GIANTS

原著:Carl Henry Rathjen

あらすじ

198x年、ロスアンジェルスとロンドンの間を結ぶのは、飛行機の役目ではなくなっていた。成層圏を超えた宇宙空間を飛ぶ宇宙船が、かつての飛行機の路線を飛躍的に便利にして就航しているからである。スティーブはそうした宇宙船の船長を務めていた。今日は703便、は4人の乗客と1匹の犬を乗せ、順調にロスアンジェルスを離陸した。

ところが宇宙船はロンドンに到着することができなかった。途中四次元的な何かのために宇宙船は混乱した飛行をし、スティーブとダン・エリクソンがその混乱を収めたときには、乗客乗員合わせて7人を乗せた703便は、地球に似た途方もない世界に迷い込んでしまっていた。宇宙船とともに703便に乗り合わせた者たちが迷いこんだ世界は、人間の10倍もの背丈の巨人たちの惑星だった・・・

解説

アメリカのTVシリーズのノベライズです。こうしたノベライズ作品の目的は、はっきりしています。TVシリーズを見たことのある方にキャラクターの持つ雰囲気を楽しんでもらえるように、それでいてTVシリーズを見たことのない方にも楽しんでいただけるように。そしてこの作品は、十分に目的を達成しています。

TVシリーズの監督は「海底大戦争・原子力潜水艦シービュー号」「宇宙家族ロビンソン」「タイムトンネル」など、SFドラマの名作と言われたシリーズを手がけたイワン・アレン監督です。

この物語がガリバー旅行記の巨人の国の章を元に作られたのは、誰の目にも明らかです。ガリバーが船で難破し巨人の国にたどり着いたように、宇宙船がトラブルに巻き込まれて巨人の惑星に着陸するわけです。ガリバーの迷いこんだ巨人の国は、ガリバーの住む世界よりも少し科学文明の遅れた国でした。そしてこの作品の703便の乗員乗客らが迷い込んだ巨人の国も、科学文明が少し遅れた世界です。総身に知恵が回らない巨人に対し、聡明で理性的で勇気と機知に富んだ小人という図式がここにはあります。こうした図式をエンターテイメントととして成り立たせる背景として利用しているのです。当時の特撮技術では表現できないようなシーンを小説では積極的に取り入れて使っています。

この物語の舞台となった1980年代は、未来のことではなく過去となってしまいました。しかし、そのようなことでこの作品の価値が変わるわけではありません。

原作ドラマについて

ノベライズ版の本作品の原作巨人の惑星も紹介していますので、そちらも併せてお読みいただければと思います。

Published : 2000.03.20
Update : 2007.08.29

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