世間様に顔向けできない

なだあくろう 作品

あらすじ

人間というものは、色々なものを愛したりできるもので…。たとえば、鉢植えとか、小鳥、仔犬などまあ色々あるもんです。この青年の場合…

青年は人形しか愛することができなかった。今日も一番大好きなラミーちゃんを目の前に置いて、欲求を満たしていた。そこに先輩がいきなり部屋にやてきた。

「おまえの人形フェチなんぞ、とっくにバレておるわい。」 慌てる青年に落ち着き払って先輩は言った。今日、先輩が青年の部屋を訪れた訳は、青年にある薬を売りつけることだった。その薬とは、人形にchっとの間、命を与えることができる薬だった。

「お前絶対気に入るって…3万!!。買うよな〜!!」

強引に薬を売りつけられた青年。あたまにきて、薬瓶を投げ付けると偶然それがラミーちゃん人形にかかってしまった。そう、青年が心血注いで作成したラミーちゃん人形にかかってしまったのだ。

「ウうん。私どうしちゃったのかしら…」

突然、ラミーちゃんが動きだした。先輩の薬は本物だったのだ。

「あ!マスターだ!!」

ラミーをのぞき込む青年に、笑顔で話しかけるラミー。ラミーは驚く青年の目の前で、いきなりコスチュームを脱ぎ身軽になると、青年の手の上に乗ってきた・・・

解説

アットーテキという雑誌は、自由奔放な作品の多い雑誌で、かなり趣味に走った作品も掲載していました。商業誌というより同人誌の延長線上にあるような存在でした。そんな雑誌ですから発行部数も少なく、採算ベースに乗せるのは大変だったのだと思います。その雑誌の象徴的な作品群の中の一作が、この作品です。

今や漫画は、事業として成り立つメディアとしての地位を獲得し、一昔前の奔放な漫画作品は少なくなってしまいました。今の漫画らしさは、漫画メディアの性質というよりも読者層にアピールできるものが、言い換えればメディアの支持層にアピールし利益を回収できるかどうかが問われるようになりました。メディアミックス作品が多くなってきたのも、漫画がメディアの一つになった現れだと言えるでしょう。

そうした流れの中にあって、漫画らしく描かれたこの作品は、いまだに不思議な魅力を放っています。

Published : 2000.03.06
Update : 2004.09.17

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