トイレット博士

体内探検の巻

とりいかずよし作品

あらすじ

トイレット博士。それは美しくも一生をうんこの研究に捧げた男の物語である。

研究所で博士が、めずらしくなにやら料理をしている。いや料理ではなく、新しい薬を作っているのだった。博士がちょっと目を離した隙に、その美味そうな香りのする薬を口にしてしまった。博士が戻ってくると、そこには小さくなった助手が。

「博士、いつのまに大きくなったんですか!?」

「おまえが小さくなったんだ!」

博士の作っていた新しい薬とは、人間を小さくする効果のある薬だったのだ。しかし、効果が切れると元に戻る。助手は一時、元に戻れなくなったかと思い肝を冷やしてしまった。

その日、トイレット研究所に1台のリムジンがやってきた。リムジンから降りたのは、お嬢様風の可愛い女の子とその召使いといった風情だ。話を聞けば、お嬢様は1ヶ月もの間、便秘に悩まされているという。そこでトイレット研究所に博士を訪ねてきたのだ。

早速博士は、先ほど完成した小さくなる薬を自分と助手に使い、小さくなってお嬢様の体の中から便通を得ようと考えた。早速2人は、小さくなり、薬と偽り、お嬢様に飲み込んでもらった。こうしてお嬢様の体の中に入っていった2人は、お嬢様の命を救うために、肛門を目指すのだった・・・

解説

お食事中の方には申し訳ない。とにかくこのトイレット博士は、きたないマンガの代表格なのです。うんこを見れば、トイレット博士を思い出すと言うくらい強烈なマンガでした。以下かなり強烈な表現も出てきますので、こういった話のお嫌いな方は、この先は読まないようにしてください。

男の子というものは、うんこの話をすると大半が笑う。何故だろう。不思議なことだけれど、実際笑う男の子は多い。そうした子供に向けて、真っ向からうんこで勝負したのが、この作品でした。この作品を描くにあたり赤塚不二夫氏が、とりいかずよし氏に「どうせやるなら徹底的にきたない話を書け!」と言ったそうですが、それにみごとに応えています。

人が何かを食べた結果として出る物が出るという訳ですが、グルメマンガがあっても、排泄マンガはあまりありません。また、ただ単に汚いものとして扱うマンガはありますが、この作品はまさにうんこをグルメしているのです。確かに食べるシーンもありますが、そういった直接食べると言うことではない表現にも、まるでグルメ談義でもするかのように感性豊かに描き上げた作者の創造力には感服しました。そうした表現が、ただ単にうんこをネタにしただけのマンガと一線を引いてこの作品が存在しているのです。

ところで、この話は遠藤周作氏の小説「初春夢の宝船」にピタリと符合するところがあります。どちらの作品も映画「ミクロの決死圏」をモチーフにしているのですが、最後の体外に出てくる方法が似ているのです。数年ほど遠藤氏が先に書いているようですが、とりいかずよし氏がこれにインスパイアされてトイレット博士に使ったのかは不明です。なお第1話は、シリーズの他の話とは設定も微妙に違うようで、もしかするとパイロット版的な役割を持って描かれたものかもしれません。

Published : 2001.09.17
Update : 2004.09.17

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