宇宙翔ける者たち

宇宙翔ける者たちより「宇宙の花」

三山のぼる作品

あらすじ

「女、女が欲しいーッ。」

長期間の宇宙航行で欲求不満になるもの当然。男ばかりの宇宙空間では騒ぐことぐらいしか許されなかった。そんな彼らの目の前に美女が現れた。

「信じられんな・・・」

早く近寄れというクルーをよそに冷静に対処するクルーが言った。

「驚いたことに、あれはちゃんとした実体だよ・・・」

しかもと、言いかけて男は黙った。それは、接近してみれば判ることだとも言った。とりあえず危険はなさそうだし冒険してみる価値はありそうだ。美女は手招きしていた。

「オッパイめがけて突撃だー」

男達の宇宙船は女に向かって進んでいった。どんどん近寄っていくと、女の胸が作っていた曲線はまるで地平線のようになっていった。その美女は、優に惑星一個分の大きさと質量があった。宇宙船はそのまましばらくの間、女の体の上を飛行した。やがて亀裂を発見した男達は、その亀裂から内部に入っていった。

突然、攻撃を受けた。何かが宇宙船体に張り付いていく。危険を感じた男達は宇宙空間へと戻るように逃げ出した。

解説

三山氏はアイディア豊富なまんが家の一人です。短編集としてまとめられると、いかに豊富なアイディアを持っているか実感することが出来ます。G-ZONEで別に紹介している三山氏の作品「女フィスト」にも言えますが、人間性を追及した作品が多いのも三山氏の特徴です。この作品は軽く読み流せるたぐいのものですが、他の作品と同様に人間性の部分がちらりほらりと出てきます。独特な絵柄とともに、こうした所に三山氏特有の雰囲気を感じます。

宇宙翔ける者たちという作品は3編の作品から成るオムニバス構成で、この宇宙の花はその最後を飾る作品です。どの作品も軽いショートショートですが、しっかりSFのツボを押さえています。

Published : 2000.02.05
Update : 2004.09.17

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