めいわく荘の人々

第135話 メ-ファイル

五十嵐浩一 作品

あらすじ

領空侵犯の国政機不明機。東京上空にさしかかった所、追跡中の戦闘機の目の前で2つに分離した。青い光と赤い光となって・・・

安川の眠りを覚ましたのは、めいわく荘の前に墜落したUFO。UFOを目撃した安川の頭の中で響く声。やがて安川の口の中から声の主が現れた。

「実体化完了・・・」

安川の口の中から現れたのは、安川が熱中していた格闘ゲームのヒロインの姿をしていた。

「ミーナ・ウィリアムス?」

「私はあんたにチャンスを与えにきたの

 銀河系を征服するチャンスをね」

ミーナは、宇宙創世のころから多くの文明が滅ぶのを目にしていたという。しかし肉体を持たないニーナには、それを防ぐことはできなかった。しかし地球人のエナジーと記憶を借りることで実体化できることが分かり、ニーナは安川の記憶の中にあったゲームのキャラクターの姿を使って実体化に成功したと言うのだ。さらにニーナの話は続く。

ニーナはある星の科学技術から生まれた最終兵器を持っていた。その機械を使ってどんな生物でも戦士としてコントロールできるらしい。しかも、銀河系で最高のオペレータとなりうるのが安川だと言うのだ。そしてテストとして、今、ニーナの体を安川にコントロールしろと迫ってきた。

説明を終えるが早いか、早速ニーナは巨大化した・・・

解説

格闘ゲームとウルトラマンの要素がミックスされた話ですが、特にニーナ巨大化のシーンは「ウルトラマン」を彷彿とさせてくれるオマージュとなっています。

格闘ゲームのキャラクターが巨大化して暴れ回るというのは、単純ではありますが、その単純さがなかなか爽快です。後半は、巨大化したニーナが、格闘ゲームのコンボ技を披露しながら街を破壊します。これだ非道なことをしながらも罪悪感を感じないのは、ゲーム的要素に支えられたストーリーのノリの良さにあります。

めいわく荘の人々は、ごく普通の日常を舞台に描かれた作品ですので、ちょっと違和感があるようにも思えますが、通して読んで特別この回だけ浮いてしまうようなことにはなっていません。その辺りが作者のセンスを物語っていると言えるでしょう。

Published : 2007.02.24
Update : 2007.02.24

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