ソード

安田秀一 作品

あらすじ(前編)

俺は、ヤクザとケンカし、頭を殴られてしまった。そして、体が動かないまま、だんだんと気が遠くなり・・・

気がついたときは、繁華街の雑踏でもなく、病院でもなかった。そこは見たこともない世界だった。何が何だか判らずに、躊躇している俺を見てばあさんがいた。

「よし、願いは叶うた。死の国より再び、この世界へ参らん。はようリプミラに教えてやらねば。」

そのばあさんは、そう言い残すと薮の中に消えていった。ばあさんの消えた薮の中から地響きが聞こえてきたかと思うと、ばあさんの代りに現れたのは、俺の10倍以上はあろうかという巨人だった。巨人はリプミラという名で、その大きさを別とすれば可愛い女の子だった。

ばあさんの話によると、ばあさんの魔法で俺は甦ったというのだ。正確には、ばあさんにリプミラがソードというリプミラの物見を甦らせるように頼み、ソードの体の中に俺が代りに入って甦ってしまったのだ・・・

(レモンピープル5月号より)

あらすじ(後編)

リプミラは狙われていた。カミラという、リプミラ同様の巨大な体躯を持った女戦士にだ。どうやらリプミラたちが巨大なのではなく、どうやら俺の方が小さい種族らしい。そして、男はとても珍しい存在なのだそうだ。

そんな命のやり取りの中にあって、リプミラはのんきに水浴びを楽しんでいた。それも俺の目の前で服を脱ぎ捨てて、平気でその裸体を見せるのだ。

しかし、そうして武器を体から外す時をじっと待っているものがいた。カミラだ。カミラはリプミラが武器を手に出来ないように、武器の置いてあるほうからリプミラに近づいていった・・・

(レモンピープル6月号より)

解説

安田秀一氏というとロリータものばかりを描いているイメージが強いのですが、巨大な女の子でも同じように可愛く描きあげてくれてます。さすがと言うほかはありません。可愛いと言っても、剣を振り回す様は迫力あります。そこに小さな少年を絡ませて、巨大だけれども可愛い女の子をうまく演出しています。

この作品は前編と後編の2話に分けてレモンピープルに連載されたものですが、好評だったとみえて、後に改めて続編の連載をしました。リプミラとソード改めリュージの活躍が見たいと思うファンの心が、作者や編集者を動かしたというところでしょうか。そちらもいずれ、ご紹介いたしますのでお楽しみに。

なお、この作品の単行本への収録は確認できていません。

Published : 2000.10.05
Update : 2004.09.17

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