学校怪談

第80話 海魔

高橋葉介 作品

あらすじ

「あの沖の島まで泳いでいこうぜ。競争だ」

学校の男子3人で海に来た僕らは、沖の小島まで競争することにした。岸から見たときには近くに見えた小島だったが、実際に泳いでみると遠かった。

小島まできた僕らはヘトヘトに疲れきっていた。小島に上がろうとしたときに初めて気がついたが、3人の手や足には女の髪の毛のようなものがまとわりついていた。

「これがまとわりついて泳ぎにくかったんだ。」

そう言った僕の後ろから笑い声がした。声の方を振り向くと、そこには女がいた。僕らは驚きのあまり動けなくなってしまった。何時間が過ぎ日が暮れようとしていた。僕らは怖くて泳ぐ気になれなかったが、意を決して帰るために海に入った。

ひとかたまりになって泳ぐ僕らの後ろには・・・

解説

高橋葉介氏はデビュー当時、ペンを使わず毛筆だけで作品を仕上げることで有名でした。しかし現在、その作品の仕上がりを見るとペンを使っていると思われる作品も見られます。しかしこの作品の巻末では主線には筆でと書かれており、改めてまだ筆を使われていることを知り、筆で描くことの思い入れの深さを知りました。

道具はあくまでも表現手段のほんの一部なので、こだわりがあろうとなかろうと読み手には関係のないものです。しかし道具が持つ味というのは絵だけではなく、その構成やストーリー自身に現れることもあるので、侮れないものであることは間違いありません。そして高橋氏が筆を道具に選んだことは、その作品の方向性に大きく影響を与えています。また高橋氏はそれらの道具を見事に使い分け、筆という道具で作品を生み出すための手法を確立しています。

そういった礎を強調せずに作品に自然になじんでいるのは、見事としか言い様がなく、その作風をまねし難いものにしています。

Published : 2000.02.06
Update : 2004.09.17

[ Prev page ] [ Category index ] [ Next page ]

You can find the work by a keyword.

Keyword: