昨日の夜。不思議な夢を見た・・・
おそろしくも恥ずかしい夢。
巨大化した私。全裸で歩き回り。足下で逃げ惑う人たち。建物を壊し、うなり声をあげて、大迫力の特撮もの。
夢であってほしい・・・
夢じゃないのが恥ずかしかった。昨日の事件を写真入りで報道する新聞に、食い入るように見る私の後ろから声がした。
「ほぉー。
やはりあの怪獣はおまえだったのか。
唯奈。」
声の主は兄だった。兄は生物研究所に勤めていた。その兄が、何とかしてくれるというので、兄と一緒に研究所に向かった・・・
(c) 松原香織/東京三世社
解説
マンガ雑誌では購読者層の幅を広げ少しでも売上を伸ばすために、常識を逸脱した少し実験的な話が入っていることがあります。少し色物的に取り扱われることが多い話も、それなりに好んで読む方も実は多く、そうした他の雑誌では色物的に扱われがちな作品を集めたのが、この雑誌と言えそうです。そうした中に本作品が掲載されていました。
作者の松原香織は、エロというよりは少々怪奇的な雰囲気のある物語を描くことが多く、雑誌の趣向に合わせて描いた訳ではなく、作家の雑誌の方向性が重なっているのだと思います。この物語の出だしは、まさに怪奇特撮もの雰囲気で描かれていて、松原香織kらしい作品と言えます。怪獣となった女の子の雰囲気が夢か現実か区別できない怪しさを持って描かれている所が素晴らしいです。
しかし全体を通してみると、怪奇物である印象はありません。主題はあくまでも、兄を思う妹がいけないことをして、いけない関係になってしまう所にある物語です。どちらかと言えばコメディですね。巨大娘を怪奇的現象として捉え、それをエロスとして描ききれなかったのではないかとも思えますが、それがこの作家の作風なのです。
ところで最後のページにちょっとしたサービスショット的なコマがあるのを付け加えておきます。
Published : 2006.12.17
Update : 2006.12.17
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