オブジェクトを手に入れる
Poserでオブジェクトを作成する方法もありますが、最も簡単なのはどこからかオブジェクトを手に入れてくることです。売っているオブジェクトももちろんありますが、フリーでも探せば色々とあるものです。初めて標準以外のオブジェクトを使用するなら、フリーのオブジェクトを手に入れて試してみるのが良いでしょう。オブジェクトを使うにも色々とコツがあるので、購入したオブジェクトが使えないという問題を抱えてしまわないように、フリーのオブジェクトを色々と試して慣れておくのが良いと思います。
オブジェクトを手に入れて作品を作るときには、自分の思い描く作品を作るというよりも、手に入るオブジェクトで何ができるかを考えるという手法になります。ただ漠然とインスパイアされるオブジェクトを探すのも良いかもしれませんが、ある程度のイメージを持って、そのテーマに合うオブジェクトを探すのをお勧めします。
探しどころとしては「Poser関連の情報源」でいくつかのサイトを紹介していますので、そこを当たるのが良いでしょう。
オブジェクト探し
とりあえずビル街を歩く巨人といった感じで作品を作ってみようかと思います。ビル街は閉塞した空間なので、カメラの位置を下げることで遠景を考えなくても良くなるので、比較的少ないオブジェクトで空間を構成することが出来るメリットがあります。映画のセット撮影で家の中や街の路地などの閉塞的な空間で、かつ人工的な物で囲まれた空間がセットとして作りやすいのと同じ理由です。早い話が簡単にセットを構築できるのが、ビル街ということです。
ビル1
オブジェクト名:Kbuilding06
作者:Kari Kosonen
入手先:http://www.sharecg.com/v/28828/3d-model/Kbuilding06
本当に無料で配ってしまうんですかと思うような出来映えの建物です。Kosonen氏は、他にもリアルなオブジェクトを提供していますが、どれも素晴らしい出来映えです。しかもPoserで読み込んだときに、全く調整のいらない丁寧な作りとなっています。
ビル2
オブジェクト名:Kbuilding05
作者:Kari Kosonen
入手先:http://www.sharecg.com/v/28770/3D-Model/Kbuilding05
これもまたKosonen氏製作のオブジェクト。街を作るとき、同じクオリティのオブジェクトを利用すると説得力が生まれます。同じ作者が製作したオブジェクトを配置するのが望ましい方法と言えるかもしれません。もし、同じクオリティのオブジェクトがそろわない時は、精密なオブジェクトを手前、あるいは構図の中心に配置すると違和感を押さえられます。
自動車
オブジェクト名:Blue Car
作者:ArcadiaZone
入手先:http://www.sharecg.com/v/12772/
これまた良く出来たオブジェクトです。Poser用に作成されているので、Poserの特定のフォルダにインストールしなければなりません。インストール方法は改めて説明させていただきますが、ファイルを所定の位置にセットするだけなのでさほど難しいものではありません。
服
オブジェクト名:Skirt and Top for G2 Jessi
作者:Evilinnocence.com
入手先:http://www.evilinnocence.com/index.php?widget=Store_Model_Product&id=361
Jessi用と書かれていますが、G2 シドニーにも使えます。Poser用に作成されているので、Poserの特定のフォルダにインストールしなければなりません。インストール方法は、後述の自動車のインストールを参考にしてください。
ブーツ
オブジェクト名:G2 Ladies Ankle Boots for Sydney & G2 Jessi
作者:MatrixWorkz
入手先:http://www.renderosity.com/mod/freestuff/index.php?user_id=454914&page=3
G2 シドニーとジェシーに使えるファイルです。Poser用に作成されているので、Poserの特定のフォルダにインストールしなければなりません。インストール方法は、後述の自動車のインストールを参考にしてください。
renderosity.comでファイルを取得するためには、事前にアカウントを作成しておく必要があります。アカウントの作成については「Poser関連の情報源」で解説しています。
バックル
オブジェクト名:THE BUKLE
作者:rigoberto gonzalez
入手先:http://www.sharecg.com/v/12299/poser/THE-BUKLE
実に怪しげなバックル。ちょっと不思議な感じを演出するための小道具として用意してみました。
上記を使って作品を作ることにします。
オブジェクトをインストールする
ビルのオブジェクトをダウンロードするとZIP形式で圧縮されています。とりあえず解凍すると、1つフォルダが作成されます。その中にビルのオブジェクトの全てが含まれています。フォルダの中身はlwoという拡張子のファイルと、さらにtextureというフォルダが入っています。拡張子lwoファイルは、Lightwave 3Dで作成されたファイルです。textureフォルダには、オブジェクトに貼付けられるイメージマップファイルが入っていますが、lwoのマッピングはPoserでは使えないので、今回使用するのは拡張子がlwoのオブジェクトファイルだけということになります。
lwoファイルを使うには、Poserのメニューから現在作業中のPoserファイルに直接取り込みます。
「ファイル」メニューから「読み込み」を選択。さらに「LightWave...」を選択します。メニューコマンドの最後が「...」で終わるものを選択すると、必ずダイアログが表示されます。そのダイアログのオプションはデフォルトですでにいくつかが選択されていますが、その他に「床に配置」を必ずチェックしてください。このダイアログでチェックするのをお勧めするのは次の4つです。
- 中央に配置
- 床に配置
- 標準フィギアのパーセンテージ
- ポリゴンの法線を固定
読み込みが完了すると、右のような状態になります。
右の図は、Poser 7で加わった新しいキャラクターのシドニーさんを配置した作業ファイルに、Kbuilding05.lwoファイルを取り込んだ所です。取り込まれたファイルが中央の床面に置かれた状態が良く分かると思います。偶然ですが大きさの調整の必要も無く、いい感じの大きさに読み込まれてます。余談ですが、結局この大きさのまま作品を仕上げてしまいました。
続けてオブジェクトを取り込むときには、最初に取り込んだオブジェクトを少し移動しておいた方が、読み込んだ状態を確認しやすいと思います。
続いて自動車のインストールですが、こちらのファイルはPoser用なので、予め所定の場所に配置しなければなりません。
右図はダウンロードした自動車のファイルを解凍してできたフォルダの構造を示しています。スクリーンショットはMacのものですが、Windowsでも同じ構造になります。インストール方法もMacとWindowsで全く同じです。
Poser用ファイルの場合、Runtimeから始まる一連のフォルダの中に、オブジェクトを構成する全てのファイルが納められています。そしてPoserアプリケーション自体にもRuntimeフォルダが存在します。実はダウンロードしたオブジェクトの持つ一連のフォルダ構造は、Poserアプリケーション自体の構造に一致させてあるのです。そして一致しない部分を見つけて、Poser側Runtimeフォルダ内にコピーすれば良いのです。
この例の場合Vechilesフォルダの中にある2つのファイルをVechilesフォルダごと、PoserのRuntime→Library→Propsフォルダの中にコピーすれば良いのです。
しかし、Poserの標準ファイル構成の中に入れるのは不安だという方には、次の場所をお勧めします。
Poserのアプリケーションがインストールされているフォルダには、Runtimeフォルダと並んでDownloadフォルダが存在します。実はこのDownloadフォルダの中にもRuntimeフォルダが存在するのです。もし標準のファイル構成に手を加えたくなければ、Downloadフォルダの方にインストールしてください。
ところで、Props以下のフォルダ構造は自由に変更できます。例えば右のようにカスタマイズしても問題ありません。このようにカスタマイズしたフォルダをPoserのメニューから実際に見ることが出来るようになります。
右図は実際にPoserのメニューで見た様子です。
まず最初にライブラリウィンドウの左側の「Poser 7J」と表示された部分をクリックして表示されるコンテキストメニューから「Download」を選択します。これでデフォルトのライブラリフォルダがDownloadフォルダに切り替わり、Downloadフォルダにインストールしたファイルを選択できるようになります。
ライブラリウィンドウの右上に表示されている▼アイコンをクリックして表示されるコンテキストメニューでフォルダ階層をブラウズした見ると・・・
小道具→乗り物→自動車
といった具合に、Propsフォルダに作成したフォルダ階層をブラウズできることが分かります。
ここではPropsに対して新しいフォルダを加えてみましたが、他のフォルダについても同様に独自のフォルダを追加することが可能です。しかし間違ってもPoser標準のフォルダを削除してはなりません。改造は十分に気をつけて行ってください。
Blue Carは内装にイメージマップが使われていますが、このイメージがなぜか付属していません。イメージは内装なのでレンダリング時に無視するようにしても構わないのですが、レンダリングの度にファイルの位置を聞かれるのは鬱陶しいのでインストール時にイメージマップの削除をしてしまうことも可能です。88_Car.pp2ファイルはテキスト形式のファイルなので、このファイルをテキストエディタで開き、イメージマップの名前「wchrom.jpg」を検索します。79520行目にあるfileの記述の行を下の図のダブルクォートで囲まれた黄色で示された部分を削除、つまりその行を「file ""」と書き換えます。これでイメージマップを使わないようになります。
服とブーツのインストールは、基本的に自動車と同じです。ただ、こちらはTextureファイルやGeometryファイルが付属していますので、そちらも忘れずにPoserの所定フォルダに入れてください。ことのきTexturesフォルダとGeometriesのフォルダ構造が変わらないように、必要なフォルダごとコピーするようにしてください。TexturesフォルダとGeometriesのフォルダは、他のファイルから参照されるファイルが納められています。もしフォルダ階層が異なるような所にファイルがインストールされると、Poserが参照を正しく追うことができずエラーとなってしまいます。もっともエラーになっても致命的ではなく、ファイルの位置をPoserが聞いてきますので、そのときに正しいファイルの位置を指定すれば使えるようになります。
オブジェクトを配置する
とりあえず乱暴にも、利用するファイルを全部配置してみます。ちょっと乱暴すぎました。自動車が大きすぎて全体を見ることが出来ません。自動車は縮小してしまいましょう。
自動車の大きさを変えるには、自動車を選択した状態にしてパラメータパレットにある「拡大縮小」パラメータで行います。とりあえず10%ぐらいに縮めてしまいましょう。縮めただけですと、地面からはなれた空中に浮かんだ状態になります。この例の場合には、シドニーさんの体内に入った状態になります。地面に降ろすには、自動車が選択された状態で「フィギュア」メニューから「床に降ろす」を選択します。
それから忘れずに、髪や服などをシドニーさんに着せておくことも忘れないでください。シドニーに着せておかないと、シドニーにポーズをつけたときにちぐはぐな状態になってしまいます。シドニーに服を着せるためには、服を選択した上で「フィギュア」メニューから「フィギュアに着用...」を選択し、表示されるダイアログで「シドニー G2」を選択します。
一通り適当な位置に移動してみると、シドニーさんの足下に、へんてこな緑の矢印が見えてきます。これは、スカートの動きを表現するためのハンドルです。試しに動かして効果のほどを見てみましょう。
右図は、右側と手前のハンドルを上に動かした所です。ひらりとスカートがめくれてしまいました。
スカートやマントなどのオブジェクトには、たまにこうしたハンドルが付いてくることがあります。このハンドルは柔らかな布の動きを表現するためのものです。うまく使うと、動きのある表現をすることができます。一方で、思い通りに動く訳ではないので、ポーズについて良く考えないとかえって不自然な感じになってしまいます。それでも無いよりは便利なハンドルであることは間違いありません。
このハンドルは、このままですとレンダリングのときにも表示されてしまいますので、レンダリングのときには「パラメータ/特性」パレットの特性ページにある表示のチェックを外して非表示にしておかなければなりません。
配置を行うときには、メインカメラとトップカメラを変えながら配置を行います。ショートカットキーが設定されているので、このショートカットキーを覚えておくと作業効率が上がります。
このビルのオブジェクトは表と裏がありますので、表の面がカメラ側になるように配置します。また閉鎖された空間を演出するためには、ビルをコピーして手前側にも配置するなどの工夫が必要になるでしょう。
ポーズとカメラと照明と・・・そしてマテリアル
ポーズとカメラと照明は、別々に作業する訳でなく、この作業は三位一体で行います。
まず配置がだいたい決まったら、ポーズをつけてみます。ポーズをゼロから設定するのは大変です。簡単にポーズをつけるには、ポーズファイルを使います。ポーズファイルは大まかに言って2種類あります。1つはそのフィギュア専用に作られた物で、もう1つはユニバーサルポーズと呼ばれる汎用のポーズです。G2フィギュアからは専用のポーズファイルは基本的には無く、ユニバーサルポーズを使うことになります。
ポーズと一緒にカメラアングルを検討します。このセットでは、ビルの高さよりも低い位置にカメラを置くことがポイントです。なぜなら、ビルよりも高い位置にカメラがあると、ビルの向こう側にも色々とオブジェクトを配置しなければならなくなってしまうからです。オブジェクトの数が多いと、何かと大変になってしまいます。ということで必然的に煽りアングルになります。
カメラアングルが遠目になってしまうのが嫌なとき、言い換えるなら被写体であるシドニーさんの足下に近づきたいときには、焦点距離を少ない値に変更します。焦点距離を変更するにはパラメータパレットでメインカメラを選択します。するとパラメータパレット上に「焦点距離」というパラメータが現れるので、これを変更するのです。最初は標準的な55mmです。お勧めは20~25mmぐらいです。これより少ない値にすると、画面の端でゆがみが相当に出てしまいます。もし少ない値にするのであれば、顔が画面中央にくるようにしてレンダリングを行い、その後でフォトレタッチアプリケーションを使ってトリミングすることをお勧めします。
カメラアングルの位置決めは、カメラコントロールパネルで行います。丸いボールのような部分をマウスでドラッグしたり、腕の部分をドラッグしながらカメラの位置を決めて行きます。
だいたいのポーズとカメラアングルが決まったら、試しにレンダリングしてみます。このとき作業ウィンドウ上にある「レンダリング」タブをクリックして、さらに「▼フル」と表示されている部分をクリックし表示されたコンテキストメニューから「ハーフ」を選んでおくと良いでしょう。これで指定サイズの半分のサイズでレンダリングできます。レンダリングの時間をちょっと節約できます。
レンダリングを行うと、思わぬ結果が見えると思います。影の位置や濃さ、足が地面から浮き上がって見えたりすることもあります。そうそう地面を表示し忘れることは、良くある出来事です。もし地面、つまり床が表示されないときには、マテリアルルームに入って「詳細設定」にパネルを切り替え、オブジェクトを「床」にして表示される「Poserサーフェース」パネル上にある「影のみを受ける」オプションが有効になっているのだと思います。この「影のみを受ける」オプションが有効になっていると、肝心の床が表示されないのです。オプションからチェックを外しましょう。
レンダリングを行うと照明が気になると思います。レンダリングをしながら照明の位置や色合いや強さを調整します。照明の数ですが、最初は少ない方が簡単に調整できます。少ない数で効果的な照明を得るには、1つIBLライトを混ぜることです。
IBLは環境光を表現するライトです。屋外の場合、太陽光の他に、空全体からも光が来ますし、建物や地面に反射した光もあります。こうした光を簡易に表現できるのがIBLです。
IBLライトは、パラメータ/特性パレットで指定します。パレット上でライトを選択して、特性を「IBL」に変更するだけです。この作例ではライトは3つ。1つは太陽光の表現、2つめは大気の表現、3つめにIBLです。
ビルの窓に反射があると、より実感的な感じになります。ビルの窓ガラスはbuilding05オブジェクトが「t5grass」、building06オブジェクトが「t6grass」という名前のマテリアルです。このマテリアルに反射の設定をします。
簡単に反射を設定するには、マテリアルルームに入って、マテリアルウィンドウの表示を「シンプル」に変更。オブジェクトをビルディングにしていることを確認して、マテリアルをガラス部分に指定します。その上で、右図を参考にウィンドウをクリックすると、右図にも示されている小さなダイアログが表示されます。そのダイアログでレイトレース反射を選択して「OK」ボタンを押します。
あと忘れていけないのが、レンダリング設定です。「レンダリング」メニューから「レンダリング設定...」を選んで表示されるウィンドウ上で、自動設定から「手動設定」に切り替えて「レイトレーシング」にチェックを入れてください。これで反射効果が期待できます。
マテリアルの調整は手間がかかりますが、手間を掛けたら掛けた分だけしっかりと作品に現れます。プラモデルで言えば塗装に当たる行程ですので、手を抜かずに丁寧に仕上げてください。
そして出来上がった作品
背景画像を入れたり、足下に人を配置して最終的に仕上げたものです。細かい説明をもっとしたかったのですが、作品を仕上げるポイントは押さえたつもりです。何かの参考にしていただいて、新しい作品を作ってもらえればと思います。
長々とおつきあいありがとうございました。少しでもお役に立てればと思います。