Hall

Poserの機能

アニメーションの制作

2009.05.06

アニメーション

ご存知とは思いますが、Poserは静止画像を作成するだけでなく、アニメーションを生成する機能も備えています。

アニメーションを作成する機能は、クロスルームなどでも使用しますので、静止画像しか作成しないという方も知っていて損は無いと思います。 操作に慣れてしまうと、さほど難しい機能ではないと思いますので、使わない手は無いと思います。

使用したモデル

今回の製作で使った主なモデルは次の通りです。

モデルを無料配布されているクリエータの方には感謝しています。なお大変申し訳のないことに、Audi TTの入手先を失念してしまいました。このAudiは、Poserのporpとして作成されており、タイヤやハンドルがボディと別に作られている優れものです。もし入手可能な方法等をご存知の方がいらっしゃいましたら、ご一報いただければ大変嬉しく思います。

簡単なアニメーション

おそらく一番簡単なアニメーションは、カメラを移動させることです。

カメラを移動させるだけでも、十分に効果的なアニメーションを作成することが出来ると思います。実際に作ってみました。

巨大少女の足下を移動するだけの単純なものですが、アニメーションにすると立体感が増します。とはいえ、これでは完成と呼ぶには少々気が引ける出来映えです。この作品を例に取りながら、アニメーション制作について考えてみます。

動きをつける

作品制作に入る前に、全体をイメージすることはとても大切です。静止画像もそうですが、作品の全体像をある程度イメージしながら作業します。特にアニメーションの場合、カメラアングルを決める他、時間的にどのように変化するか考えなければなりません。

ご存知かもしれませんが、アニメーションは連続して変化する静止画像を繋ぎ合わせた映像です。この1つの静止画像をフレームと呼びます。例えばこの作例は60フレームありますが、それは60もの静止画像の集合であり、60ものカメラアングルが存在することを意味します。でも恐れることはありません。1フレームづつカメラアングルを調整する必要はないのです。

カメラアングルは60フレームのうち、いくつかのフレームで調整するだけです。 パラメータを設定していないフレームは、パラメータを補完して計算されるので、要所を押さえて構図を調整するだけで全体の動きが決定されるのです。何カ所を調整すれば良いのかは一概に言えませんが、複雑な動きになれば調整する箇所は多くなります。

こうしたパラメータの変化を管理するための画面として、「アニメーション編集」パレットの「キーフレーム」パネルがあります。

キーフレームパレットを見ると、どのフレームでどのパラメータを調整したかが一目瞭然になります。 パラメータの数値は表示されません。 上の図は、先の作例のキーフレームパレットです。 この単純なカメラの動きを作るだけでも、いくつもの調整を行っていることが分かります。メインカメラの横列を見ると、調整したフレームに濃い目の茶色の四角が表示されていますが、この部分が調整をした箇所を表しています。 この調整した箇所を「キーフレーム」と呼びます。

カメラを移動させて巨大少女を撮るには、カメラを移動するだけでなく、角度など総合的に向きを変化させなければなりません。この作例では、手前から奥へと移動しながら、構図の中に巨大少女が収まるように、カメラアングルを変化させています。 最初に作品全体の長さを60フレームと決めました。 第1フレームにてカメラアングルを決めた後、第60フレームに移動して最後のカメラアングルを決定します。 次に真ん中の30フレームあたりで調整し、続けて適当なフレーム間隔を明けながら調整をしていきます。 その結果、いくつものキーフレームが生まれることになるのです。

作例のキーフレームの位置を見ると、メインカメラの列にいくつかと、平面詳細_1の列にいくつかあるのが分かります。 カメラアングルのアニメーションなので、メインカメラの列にキーフレームがあるのは納得ですが、平面詳細にキーフレームがあるのには、ちょっとした訳があります。 平面詳細は地面として配置してあるのですが、実はカメラアングルによっては地面の下にカメラが潜り込んでいる部分があって、邪魔な地面を8フレーム目で下げているのです。 実際映画などでも、地面の下にカメラがいくことがありますので、カメラ技法的には正しいと思います。

この作例での実際の作業を説明したいと思います。

まず「アニメーションコントロール」に表示されているフレーム数を30から60に変更しました。 上の図の緑色の四角で囲まれた部分です。 これで全体のフレーム数が60になります。 フレーム数の変更は他にも方法はありますので、好きな方法で変更すれば良いかと思います。

このアニメーションコントロールは、Poserのウィンドウの下方にあります。 下方に表示されていない時には、上図の赤丸で示されたハンドルだけが表示されていますが、このハンドルをマウスでクリックすると表示されます。 このパネルを使って調整したいフレームにあわせ、次に「パラメータ/特性」パレットに切り替え、メインカメラのパラメータを調整してカメラアングルを決めます。 パラメータ/特性パレットの使い方は、フィギュアのポーズをつけるのと同じです。

フレームを変えながら調整を行う作業を繰り返し、全てのフレームで満足が得られるようにキーフレーム追加して調整します。

アニメーションでは、作品時間を最初に決めた方が良いかもしれません。 もちろん最初に決めた時間が絶対ではありませんから、作業が進むにつれて変更することもあります。 制作が手慣れてくると、この動作は大体何フレームを必要とするのか見当がつくようになりますので、作品全体がどのくらいのフレーム数になるか予測できるようになります。

ムービーファイルの作成

全てのフレームについて満足のいく状態にできたなら、いよいよムービーファイルに書き出します。 ムービーにして改めて眺めると、また細かい所に手を入れたくなるかもしれません。 最初は低画質で書き出して、ムービーファイルを実際に見てチェクします。 チェックしてみて問題なさそうなら高画質で書き出しましょう。

ムービーファイルを作成するには、まず「アニメーション」メニューから「ムービーの作成...」を選択します。 これでムービー設定ウィンドウが表示されますが、実はこのウィンドウは、レンダリング設定ウィンドウの別パネルなのです。

ムービー設定のポイントは、レンダラーを選ぶことと、解像度を選ぶことです。 最初の作例の場合、レンダラーは「プレビュー」で、解像度は480×270ピクセルです。 レンダラーがプレビューですと、レイトレースレンダリングは使われず、非常に高速にムービーファイルを作成することが出来ます。 カメラアングルのチェックには、プレビューは向いていると思います。

この後に登場する作例では、レンダラーに「FireFry」を指定しています。レイトレーシングを利用する場合には、レンダラーがFireFryであることが条件になります。 FireFryを使う場合は、レンダリング設定にも注意してください。 設定が終えたら「ムービーを作成」ボタンを押します。

ムービーを作成ボタンを押すと、さらにその環境で使えるコーデックについて設定できるウィンドウが開かれます。 AVIやQuickTImeなどの保存形式を選択し、その他のオプションを指定します。 選択肢が非常に多く、またどのコーデックを選んで出力するかによってもオプションの内容が変わるので、ここでの解説はしきれないので、詳しくはリファレンスマニュアルを参考にしてください。

次の作例は、QuickTime形式の1670万色以上で出力しました。 キーフレーム間隔は24、フレームレートは8です。 参考にしていただければと思います。

一般のムービーファイルで言う所のキーフレームとPoserのキーフレームは根本の考え方は同じですが、同等ではありませんので注意してください。 ムービーファイルのキーフレームは、完全な静止画像を含んだフレームで、他のフレームは変化したデータだけを含んでいるのです。 動きの少ない動画でキーフレームの間隔が離れているとデータサイズが小さくなりますが、動きが激しい動画の場合にはさほど小さくなりません。 またムービーファイルでは映像と音声の同期をキーフレームで行います。

この作例は最初の作例とほぼ同じですが、まったく動かない巨大少女は味気ないので、カメラを追いかけるように頭を動かしてあります。 最初の作例と比べていただければ分かると思います。

作例2

こんどはカメラを固定して巨大少女に動いてもらうことにします。 でも歩いてもらうと舞台を作り込まなければならず、大作になってしまいますので、あまり動き回らない作品にします。ということで、こんな作品を作ってみました。

巨大少女が車を踏みつぶしているのは、学校の先生は理事の車といったところです。 理事の車なら分かりますが、もし先生ならアウディTTは奮発した買い物だったと思います。 こんなところに駐車したのが運の尽きでした。

踏みつぶされる車は、マグネット機能で変形させています。 マグネット機能は有用なテクニックなので、別の機会に解説させていただきます。 スカートはクロスルームで布化しています。 クロスルームについてはこのページで説明していますので参考にしていただければと思います。