さよならインプ

木村直巳 作品

あらすじ

ある雨の夜、山内勇のもとに小さな小さな妖精がやって来た。その妖精は、勇の名前を知っていた。妖精が突然あらわれたのにもかかわらず、勇は驚くどころか親近感をもって妖精を迎え入れた。

勇は中学3年生。受験を間近にして少しストレスがたまっていた。インプはそんな勇のそばを片時も離れなかった。最初は雨宿りのはずだったけれど、それは2ヶ月も続いた。

やがて夏休みに入り、あるきっかけから知りあった女の子とつきあうようになる。そして、とうとう勇は告白したのだった。そしてインプは...

解説

少年時代の心に訪れるさまざまな淡い思い。その心情と、インプがみごとに融合しています。

しかしながら、今このような少年時代を過ごすことが可能なのでしょうか。不可能ではないにしても、このような生活ができたら、それだけで幸せなことだと思います。思春期へのノスタルジックな思い出を作ることは、今の社会では、特に都会では、困難でしょう。この作品は、豊かな生活と、物に恵まれているということが違うことなんだと気づかせてくれます。インプは思春期にあるべき理想の心の象徴で、思春期の過渡的な友情の象徴でもあります。あなたがもし大人になって、思春期の思い出に浸れるなら、きっとインプに出会っていたのだと思います。

木村氏の作品は、ごく普通の現実を持つファンタジーであることが多く、この作品は特にそうした木村氏の作風が色濃く出た作品です。そして構成が非常に緻密に作られています。もし、手に取る機会があれば読んでみてもらいたい作家のひとりです。

記事公開日:1999.07.16
記事更新日:2004.09.17

さよならインプ

発行 朝日ソノラマ
初版 昭和57年11月20日初版
ISBNコード ISBN4-257-91712-1
価格
サイズ 一般コミック・平綴
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