地球制服13号

雑誌「THE ZERO」掲載作品

粉味 作品

あらすじ


地球は狙われている・・・ 美しく青い惑星に、おそるべき侵略の魔の手がのびようとしているのだっ!!

(本文より引用)

御屋浮高校(おやふこうこう)の体育用具室。清く正しく美しい不良女子高生グループのたまり場は、いつもとかわらぬ楽しい様相であった。その和やかな雰囲気を壊すものが、窓の外からやってきた。

「手をあげろ! こんにちは!」

窓を押しやぶって入ってきたのは、なんと円盤。その円盤から何やら妙チクリンな生き物が。宇宙人だ。日本語が少し変なのは、どうやら宇宙人の翻訳機のせいらしい。

「ぼくらは地球の征服をしにきたんだぞっ!!」

虚勢を張っているようにしか見えない宇宙人。そんな宇宙人たちに驚くそぶりも見せないのは、さすが不良グループ。

「地球の制服を着にきた?! きゃーかわいい!!」

実にとんちんかんなやりとりである。てんで相手にされない宇宙人たちは、何を思ったか桃を投げはじめた。もちろん動じるはずも無い女子高生たち。番長格のリツコなどは、投げ付けられた桃を食ってみせる余裕すら見せている。

「わあい! く〜った! くった!」

リツコが桃を食ったのを見た宇宙人は、喜びを隠せない様子。何やら桃には仕掛けがしてあったらしい。間もなくリツコの体に変化が現れはじめた。

やがて大音響とともに体育館は崩れ、そこに巨大な影が。なんと巨大化したリツコだった。宇宙人たちは、巨人となったリツコをロボットのように操り、突如街を破壊しはじめた。

「力つきるまで街を破壊しつづけるがよい!」

力つきることを知らないリツコにとんでもないことを命じる宇宙人だ。しかし、いつまでも言いなりにリツコがなるわけが無かった・・・

解説

粉味氏のお得意の女子高生マンガ。常連キャラクター総出で、実に粉味氏らしいギャグ漫画に仕上がってます。駄じゃれ連発も駄じゃれで笑いを取りにいっていないところが、嫌みを消しています。それがこの方の持ち味。テンポ良くストーリーが展開していきます。

破壊の限りを尽くす巨大女子高生。粉味氏の勢いのあるキャラクターが、まさに威力倍増、いや魅力倍増。文句なしです。やりたいほーだいやってしまっては犯罪ですが、そこは宇宙人に操られてのこと。しかたありません。市民のみなさんも納得してくれるでしょう。それに地球を宇宙人の手から守ってくれたのだから、少々街が壊されたくらいでおこる人もいないでしょう。なんてね。

夜が明ければ、巨大な足跡。昨夜の出来事も知れ渡り、ますます凄みを増すリツコ。もう一回ぐらい巨大化して暴れているのを見たいような気もします。カムバックしないかな、粉味氏。

記事公開日:2001.01.28
記事更新日:2004.09.17

THE ZERO

発行 徳間書店
初版 昭和59年6月25日
雑誌コード 雑誌01578-6
定価 340円
サイズ B5・平綴

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